第26話
レンは一度寝室に戻り、鞄の中に今まで読んだ本を押し込むと、定位置となりつつある談話室のひとつのソファに腰掛け、本を読みはじめる。
一度気になると、それが気になり続けて頭から抜けないのだ。
かといって誰かに聞こうとも、あの独特の香りを言葉で説明するのが難しい。
どこかにそれを現す文が載っているかもしれないと、僅かな期待にかけてみる事にしたのだ。
「レン、どうかしたの?」
暫くするとハーマイオニー達もホグズミードから戻ってきて、本を鞄から次々に取り出しては流し読みしているレンの様子を不思議そうに声をかける。
「ちょっと…気になった事があるんだけど、それが何だか思い出せなくて。」
「レンでもそんな事があるんだな。」
「私を何だと思っていたの?」
「知恵袋的な…?」
レンの言葉に双子はそう返すと、皆は笑い出し、レンも小さく笑ってみせる。
「レンの気にかかった事ってなんなの?」
ハーマイオニーはそう聞くが、レンは何度か口をパクパクとさせるが、上手く表現できる言葉が見つからない。
「香り…どこかで嗅いだ事がある香りなのだけど…上手く説明出来ないのよ。独特な香りなの。」
「何だかまた変わったものが気になってるんだな。」
ジョージは笑ったが、レンは曖昧に頷いてみせ、本に視線を落とした。
11時半になると、本を読んでいたレンの耳元で「行ってくる。1時に此処で話す約束してるから、それまでには戻る」とハリーの声がし、レンは小さく頷くと、急に頷いたレンに、周りにいたハーマイオニーが少しだけ首を傾げる。
「何か見つかったの?」
「いいえ、何も。」
「その匂いってのは、家で嗅いだ事があるとかじゃないのか?」
「それなら記憶に残ってると思うわ。」
「じゃぁ、ホグワーツで?」
ホグワーツ…?
レンはロンの問いに小さく首を傾げ、宙をみつめる。
それから何気なくハーマイオニーを見つめるとレンはハッとしたように「ハーマイオニー!」とその名を呼ぶ。