捨てなさいと言ったでしょう!とカンカンなモリーの事だ、これは間違いなく悪戯グッズの飴で、何かやらかした後なのだろうなぁとそれをただ眺める。
「俺達、これを開発するのに6ヶ月もかかったんだ!」
「おや、ご立派な6ヶ月の過ごし方です事!OWL試験の点が低かったのも当然だわ!」
2人は自分達の将来の為になる事をしていた…それを無残に捨てられてしまうのもどこか可哀想だと、叫び合う2人をレンは見つめながら思えば、テーブルの下で密かに指を動かしちょっとした悪戯をした。
そんなこんなで出発の時はとても和やかとは言えない雰囲気だった。
モリーはしかめっ面のままでアーサーの頬にキスをしていたが、双子はそれよりももっと恐ろしく顔を顰めていた。
双子はリュックサックを背負い、母親に口も聞かずに歩き出した。
「それじゃ、お行儀よくして楽しんでくるのよ。いってらっしゃい。」
離れていく双子の背中に向かってモリーは声をかけたが2人は振り向きもせず返事もしなかった。
レンはそんな2人に苦笑を浮かべ、モリーに行ってきます。と声をかけ歩き出す2人の後を追った。
「ねぇ、あの飴は何だったの?」
早足で一生懸命についてくるレンに双子は視線をちらりと向ける。
2人とは脚の長さが違う所為もあって、彼らが速足だと、レンは小走りだ…何気に少しキツイ。
「トン・タン・トフィーっていうんだ。」
「食うと舌がでかくなる。」
そう一言返しただけで、2人は何も言わなくなった。
後ろからアーサー達がちゃんと追いかけてきているのを確認すれば、レンはアーサーにそれが見えないよう双子の前に走り出てそちらをみながら後ろ向きに歩き悪戯っぽく笑む。
「貴方達にそんな顔は似合わないわ。」
そんなレンに双子は顔を見合わせ小さく肩を竦めただけだった。
ほっといてくれ。そう言いたそうな彼らにレンはポケットに手を入れ「そんな顔をするなら捨ててしまおうかしら。」と、色鮮やかなソレを数個取り出してみせると、たちまち双子の瞳が輝いてそれを見つめ、どうして?と不思議そうな色も見えた。
「こっそりだったから…これだけしか無理だったわ。流石のおば様も私がこんな事するって思ってなかったようね。」
アーサーからレンが見えない様に隠す双子にレンはクスクスと笑いながら、それを双子に返した。
「私貴方達の夢を応援したいのよ。だから…って思って。でも内緒よ?」
「「天使!いや俺達の女神だ!」」
双子はそう大袈裟に言えば両サイドからレンを抱きしめ後ろ向きに歩いていたレンはそのままバランスを崩し3人はパターンとそのまま地面に倒れた。
「お前達、何をしてるんだ!そんな事をしてレンが怪我をしたらどうするんだ!」
アーサーのその声に「レンが転けただけだ」と双子は顔を見せずに言い返すも、2人の顔は嬉しそうだった。