「簡単さ。果物が盛ってあるあの器の絵の裏に、隠し戸がある。梨を擽ればいいのさ。するとクスクス笑う。そこで…」
そこまで言うとフレッドは口を閉じて疑う様にハーマイオニーを見つめる。
「屋敷しもべを率いてストライキをやらかそうって言うのかい?」とジョージ。
「ビラ撒きとかなんとか諦めて、連中をたきつけて反乱か?」
何人かが面白そうに笑ったが、ハーマイオニーは何も言わなかった。
「連中をそっとしておけ。服や給料を貰うべきだなんて連中に言うんじゃないぞ!料理に集中出来なくなっちまうからな!」
丁度その時、ネビルが大きなカナリアに変身してしまい、皆の注意が逸れた。
「あー…ネビル、ゴメン。忘れてた!やっぱりクリームサンドに呪いをかけてたんだ…」
皆がゲラゲラと笑う中でフレッドが叫び、レンがジョージを見上げながら睨めば、彼も楽しそうに笑い、ネビルは1分も経たない内にネビルの羽が抜け始め、全部抜け落ちるといつもの姿に戻り、ネビル自身も皆と一緒に笑った。
「カナリア・クリーム!ジョージと俺とで開発したんだ!1個7シックル。お買い得だよ!」
「…しっかりしてるわ。」
レンがそう呟けば、お褒めの言葉を有難う、姫君。と2人は悪戯っぽく笑った。
12月が風と霙をつれてホグワーツにやってきた。
湖に浮かぶダームストラングの船も、ボーバトンの馬車も随分と寒そうで、レンは隙間風だらけではあったが、ホグワーツ城が1番暖かいだろう事を感謝してしまった。
ハグリッドがマダム・マクシームの馬達に、好物のシングルモルト・ウイスキーをたっぷり飲ませている事にも嫌でも気付いた。
牧場の隅に置かれた桶から漂ってくる酒気だけで、魔法生物飼育学のクラス全員が酔っ払いそうになる程だったからだ。
これにはとても困った生徒が殆どだった。
何しろその授業では、殺し合いを始めて10匹になった尻尾爆発スクリュートを飼育し続けているからだ。
その姿は初めて見た時とは違い、背丈は2m近くになり、灰色の分厚い甲殻、強力で動きの速い脚、火を噴射する尾、棘と吸収盤など全てが相俟って、今まで見たどの生物よりも奇妙に育っていた。