「そうだ。このハンカチ、嫌じゃなかったらクラムが持っていてくれる?」
「ヴォクが?」
「そう。あの時あの時の記念。…洒落っ気も何もないハンカチで申し訳ないけど…って負けてしまった試合の記念じゃおかしいわね。…えぇーっと…。」
「それじゃ、ヴァじめての、出会いと握手の記念に。」
「えぇ。そうしてくれる?」
「有難う。」
「私も、素敵な贈り物を有難う。」
「その模様、見たら、キミを思い出した。キミみたいな、可憐な花。」
クラムの言葉に一瞬きょとんとすると、クラムもきょとんと仕返した瞬間、ボッと音を立てたかの様にレンが真っ赤になり、クラムはそれがおかしかったのだろう、声を上げて笑ってしまっていた。
「キミヴァ、噂より、とっても可愛い。」
「クラム、揶揄わないで頂戴。」
クラムは笑いながら分かれ道までくれば、それじゃ。と立ち去っていった。
レンはそこで大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせて図書室に入り本を探るが、どうも内容が頭に入ってこない。
『キミの様な可憐な花。』
そう頭に響き、もらったハンカチを見遣れば、可愛らしい綺麗な刺繍。
クラムにはこう見えているのか…と、思えばまた顔が紅くなるのが判る。
溜息を吐き、今日は諦めよう。と思い図書室を出れば「レン!」と声をかけられ、今度はいったい誰だと溜息まじりに振り返ると、ドラコが少し頬を紅くしながらレンを呼び止めていた。
レンはまさかドラコだったとは思っていなかった為、そこにあるドラコの姿に少し驚いた表情を見せた。
「こんばんは、ドラコ。…どうかしたの?」
「ちょっと今いいか?」
ドラコは改まってレンにそう聞くので、レンは首を縦に振った。
「あー…それ、まだ着けてくれてるんだな。」
ドラコは緊張した面持ちで、視線を泳がせると、レンの纏まった髪を見つめ、嬉しそうにそう零す。
1年の時のクリスマスにドラコが贈ってくれたシルバーの髪留めだ。