愛息子、というやつだろうか?レンはシリウスが彼の様にレンの事を紹介したらどうするんだろう?
少しだけ想像しては心が擽ったくなってしまい、直ぐに考えるのを止める。
「そろそろ時間だ。エイモス、他に誰がくるかどうか知ってるかね?」
アーサーがあからさまに話題を変えた所だった。
「いいや、ラブグッド家はもう1週間前から行ってるし、フォーセット家は切符が手に入らなかった。この地域には他には誰もいないと思うがどうかね?」
「私も思いつかない。さぁ、あと1分だ。準備しないと…いいかい?ポートキーに触っていれば良い。それだけだよ。指一本で良い」
皆の荷物が嵩張って簡単な事ではなかったが、大の大人2人を含め10人がポートキーの汚らしい古びたブーツに掴まっている。
冷たい風が丘の上を吹き抜ける薄明かりの中、こんな格好をしている所をマグルに見られたらどう思うだろう…そう思えば、レンはくすりと笑ってしまう。
「どうしたの?」
「今マグルが見たら、なんの儀式だ?って思いそうだなって」
ハリーの言葉にそう返せばハリーはニヤリと笑い、反対側の隣にいたセドリックにも聞こえていたのだろう、小さく笑った。
3…2…1…とアーサーが片目で時間を見たままカウントしていけば、それは突然だった。
ヘソの裏側が前へ引っ張られる様な感覚に襲われれば、両足が地面を離れる。
ブーツに触れていた指はまるで磁石の様に引っ張りそれで前進させてくれている様だった。
そしてそれは両足がすぐに地面に付く感覚がし、レンは直ぐに手を離してふらつきながら立ち上がる。
「大丈夫かい?」
「えぇ。有難う、ミスター・ディゴリー」
セドリックにそうお礼を言えば口を開いた彼の代わりにアナウンスが響き渡る。
「5時7ふーん。ストーツヘッド・ヒルからとうちゃーく」
辺りを見渡すとディゴリー親子とアーサー以外は皆地べたに倒れていたし、ハリーとロンはもつれあっていた。
辺りは随分と霧深い辺鄙な荒地の様で、目の前に疲れて不機嫌そうな魔法使い2人が立っていた。
2人ともマグルになろうとしていた努力は認めるが、とても奇妙な格好をしていたが、アーサーは使用済みと書かれた箱に古びたブーツを入れながら彼らと挨拶を交わしている。