「デタラメじゃねえ。俺は…俺は…半巨人だ。」
「だから何?」
レンがそう言えばハグリッドは瞳を丸くし、その瞳からは止まる事なく涙が溢れ続けている。
「半巨人だろうと巨人だろうとそうでなかろうと、ハグリッドはハグリッドよ。小さい頃、孤独と不安や闇に押し潰されそうになった時、いつも側にいてくれて、優しく抱きしめてくれたり、色々な話を聞かせてくれた優しいハグリッドよ。その記事はデタラメよ。だって皆、ハグリッドの事嫌っていないもの。」
そう言えば、ハグリッドは泣きじゃくり、レンは側に行くと、ゆっくりとハグリッドの頭を優しく撫でる。
昔ハグリッドがそうしてくれていた様に…。
「昔はシャルに呼ばれてハグリッドが家に来てくれた時、いつもこうしてくれてたわよね。」
「俺は…お前さんに優しくしてもらう資格なんかねぇんだ。」
涙で声を詰まらせながらそう言うハグリッドにレンは小さく首を傾げる。
「あん時、俺はレンを見捨てた…気付かなかったといえ、お前をあの瓦礫の中に…」
そう言うと、ハグリッドはまた声を上げて泣きじゃくり、レンは小さく溜息を吐いた。
去年パブで聞いたあの話…ヴォルデモートに連れられてハリーの両親を殺した現場にレンが居た事をハグリッドは知らず、崩れ去ったハリーの家からハリーのみを助けて去ってしまった…あの事を言っているのだろう。
「その事はなんとも思っていないわ。」
「お前さんは覚えていねぇからだ。」
「私ね…アイツがハリーの両親を殺した出来事や光景をちゃんと覚えてる。けれど、私は一度だってハグリッドの事を嫌いだとか置いて行った癖にとか思った事は無いわ。」
レンの言葉にハグリッドは何も言う事はなかったが、レンは言葉を続ける。
「優しくしてもらえる資格…そんな物があるなら、私は誰にも優しくしてもらう資格なんか無い。」
自分の父親は沢山の人から幸せを大切なものを奪っていったのだから…。
「けど、ハグリッドはそんな事を気にもせずに、今までずっと優しくしてくれたわ。時には友の様に、時には妹の様に愛してくれた。」
ハグリッドの瞳から滝のように涙が溢れ、膝に零れ落ちる。
「ハグリッドは私がヴォルデモートの娘だから優しくしてくれたの?」
「んな訳ねえ!…お前さんだから、俺は…」
「なら優しくされる資格なんてそんな物関係ないわよね?私もハグリッドだからこうしたいって思うの。」
「お前さんは、ホントに優しい子だ…」
「おだてても何もでないわよ。」
レンはクスクスと笑いながらそう言えば、ハグリッドは袖で涙を拭う。
それからハグリッドは呆然と何処かを見つめたり、ボロボロと涙をこぼしたり、自分の中で今起こっている事と自分の気持ちを整理できていない様子だった。