レンは授業が始まっても、ハグリッドの小屋から出る事はなかった。
暖炉に火をおこし、ハグリッドにお茶をだし、ファングの遊び相手になったり…まるで休暇の続きをしているかの様だ。
夕食の時刻まで、レンは今日の授業で行われそうな所を自分なりに勉強を済ませれば、ハグリッドの小屋の戸をドンドンと叩く音が聞こえレンは顔を上げる。
「ハグリッド、僕達だよ!開けてよ!!」
ハリーの声だ。
だがハグリッドはその声を聞くとビクッと大きな体を小さく跳ねさせて、レンが扉を開けようとするのを制する。
「ハグリッドが半巨人だって事、まさかハグリッドったら、私達がそれを気にしていると思ってる訳じゃないでしょうね?」
ハーマイオニーが同じ様に扉の向こうから叫んでおり、レンはハグリッドを見る。
「貴方の友達は皆ハグリッドが大好きよ。だから気持ちが落ち着いたら、またハグリッドに色々教えてもらいたい。」
レンの言葉にハグリッドはただ涙を流すだけで、何も答えはしない変わりに、「もう寮に帰んなきゃなんねぇ」とレンの背を押す。
「ハグリッド…多分新聞を読んだ人から色々なお手紙が届くと思うの。私が当主になった時もそうだったわ。読まずに燃やしてしまいなさいな。勝手な言い分だから。…真実は貴方の目の前にちゃんとあるの。だから他人の言葉に惑わされずに、本当に信じられるものを信じて前に進んで欲しい。」
レンがそう言うと、ハグリッドはレンを見つめてから扉の前へ押しやる。
レンはそっと扉を開ければ、更に背を押されて、扉は硬く閉ざされてしまった。
「何処に行ったのかと思ったら!」
「取り敢えずお城に行きましょう…ハグリッドは何も話したくないみたい。」
レンの言葉に、3人は城へと歩いていく。
「どうして私達を避けるのかしら。」
「今自分の身に起こってる事を整理出来てないのもあるけれど…怖いのよ。とっても…」
「怖い?」
ハリーは、先頭を歩くレンの背を見ながら首を傾げる。
「私の推測だけれど…ハリーもロンもハーマイオニーも大切な友達で、信じてるけれど…今までずっと隠してきてた。貴方達に嫌われるのが、恐れられるのが、否定されるのが、傷付けるのが怖くて言えなかった。…けれど知られてしまった。ハリー達は自分を恐れたりしない、半巨人ってだけで自分を嫌ったりしない…そう信じているけれど、もし万が一そうでなかったら…そう思ったら恐ろしいんだと思うの。私がそうだったから…。」
レンは呟くように言うと、ハリーは急いでレンの隣に並び、レンと手を繋ぎ、その手にギュッと力を込めた。
「だけど、真実を知っても僕はレンの事大好きだよ。ハグリッドの事だって。」
「判ってるわ、有難う。ハグリッドも判ってるの。本当に貴方達はそんな事をしないって…けれど確実に自分を嫌う人も出てくる。それに向き合う勇気が今は欠けてしまっているだけ。いつものハグリッドならそんな事はないのだろうけれど…気持ちが整理できてないのよ。」