城を出て、冷たい湿った校庭を校門の方へと歩いて行けば、湖に停留しているダームストラングの船の側を通る。
デッキに人影があり、其方を見ると、其処に居たのはビクトール・クラムだった。
彼は水泳パンツ1枚で、痩せてはいるが見かけよりずっとタフそうだった。
レンは慌てて視線を逸らせば、ハリーは不思議そうに首を傾げる。
「あークラムが…」
「あぁ…」
レンが見ていた方をハリーも見れば、恥ずかしそうに少し紅くなっているレンに納得したらしく少しだけ笑った。
「1月なのに!凍えちゃうよ!」
「あの人はもっと寒い所に居るの。あれでも結構暖かいと感じてるんじゃないかしら。」
ロンの言葉にハーマイオニーがそう答えると、ロンは面白くなさそうに「だけど大イカもいるしね」と何処か期待を込めたような言い方をしたので、ハーマイオニーは眉を顰める。
「あの人本当に良い人よ。ダームストラング生だけど、貴方が考えている様な人とは全く違うわ。此処の方がずっと好きだって私にそう言ったの。」
ハーマイオニーの言葉は、ロンには聞こえていないかの様に、ロンは何も言わなかった。
4人は雪でぬかるんだハイストリート通りを歩き、色々な店を見て回った。
だが、ハリーは店の品物より店の中にハグリッドが居るかどうか…の方が気になっていたらしく、殆どの店を見終えると三本の箒に行く事を提案し、4人はお店へと向かう。
パブは相変わらず込み合っていた。
しかし、テーブルを一渡りざっと見回しただけでハグリッドの姿がない事が判った。
ハリーもそれが判るとがっくりと消沈し、4人は一緒にカウンターに行きバタービールを注文した。
「あの人、いったいいつ、お役所でお勤めをしているの?」
急にハーマイオニーがヒソヒソ声でそう言い、レンはハーマイオニーの見ている方に視線を向ける。
其処にはカウンターの後ろに鏡があり、鏡にははっきりと大勢の小鬼に囲まれて薄暗い席に座っているバグマンの姿があった。
レンはその様子に首を傾げた。
三校対校試合がない今週にバグマンがこんな所に居るのはとても不自然だが、それよりも小鬼が全員腕組をしてなにやら恐ろしげな雰囲気なのだ。
バグマンはカウンターの方に視線を向けると、此方に気付いたのか「直ぐだ。直ぐだから!」と小鬼に向かってぶっきらぼうに言えば、急いでハリーの下へとやってくる。