「あんなブスのスキーターババァの言う事なんか…」
ハリーはダンブルドアが側に居る事を忘れていた様で、ハッとすると「すみません。先生」と慌てて謝る。
「急に耳が聞こえなくなってのう。ハリー、今なんと言うたか、さっぱり判らん。」
ダンブルドアは天井を見つめ、手を組んで親指をくるくると弄びながら言った。
いつものダンブルドアの茶目っ気溢れた優しさにレンは自然と笑みが零れてしまう。
「僕が言いたかったのは…ハグリッド、あんな女が、ハグリッドの事をなんて書こうと、僕達が気にする訳ないだろう?」
コガネムシのような真っ黒な瞳から、大粒の涙が2粒溢れ、もじゃもじゃ髭をゆっくりと伝って落ちた。
「ワシが言った事の生きた証じゃな、ハグリッド。」
ダンブルドアはまだじっと天井を見上げたたまま言った。
「生徒の親達から届いた数え切れない程の手紙を見せたじゃろう?自分達が学校に居た頃のお前の事をちゃんと覚えていて、もし、ワシがお前をクビにしたら、一言言わせて貰うと、はっきりそう書いて寄越した。」
「全部が全部じゃねぇです。…皆が皆、俺が残る事を望んではいねぇです。」
「それはの、ハグリッド…世界中の人に好かれようと思うのなら、残念ながらこの小屋にずっと長いこと閉じこもっている他あるまい。」
ダンブルドアは半月のメガネの上から今度は厳しい目を向けていた。
「ワシが校長になってから、学校の運営の事で、少なくとも週に1度は梟便が苦情を運んでくる。かと言って、ワシはどうすれば良いのじゃ?校長室に立てこもって誰とも話さん事にするかの?」
「そんでも…先生は半巨人じゃねぇ!」
ハグリッドが嗄れた声で言った。
「ハグリッド…それなら私はどうしたら良いの?…私の父親は誰?皆私の父親を知ったら私の死を望む人が殆どだわ。私は…死ねとか嫌いだとか言われたら、自分の生きてきた事を恥じながら家に閉じこもって、皆が死ねって言うから志半ばで自害でもすれば良いのかしら?」
その言葉にハグリッドは瞳を丸くした。