「ミスター・ムーディ?貴方はアラスタ・ムーディですか?」
レンのその言葉に中の男は警戒した視線を向け、何も発しはせず、ただレンを睨みつける。
「私はレン・クレスメントです。」
「クレスメント…アクアの娘か。何しに来た?」
「本物のムーディ先生に会いに…本当の事が知りたくて。」
「真実ならば俺が話してやろう。」
音もなく背後から現れた声にレンは慌てて振り向き杖を向ける。
其処にはもう1人のムーディの姿があった。
「まっこと勇敢で知恵のある女だ。闇の帝王の血を受け継いでいるだけの事はある。」
「…バーテミウス・クラウチ…さんよね?」
レンのその言葉に、ムーディの姿をした男はニヤリと気味の悪い笑みを浮かべる。
「バーテミウス・クラウチ…ジュニアだ。」
お互いに杖を向け合いピクリとも動かず、クラウチはレンをじっと見つめたまま不敵な笑みを浮かべている。
「いつ気付いた?」
「貴方と三本の箒で会った時、貴方から僅かにポリジュース薬の匂いがしたわ。」
クラウチはそれを感心した様に、そして楽しそうに笑い声を上げた瞬間、レンはその隙をついて武装解除の呪文を唱えるが、向こうは幾つもの戦いを潜り抜けたプロ。
簡単に見抜かれ、反対に杖を奪われてしまう。
「どうして私が忍び込んでるって気付いたの?まだ課題の途中よ。」
そういうとクラウチは一枚の見覚えのある羊皮紙を取り出す。
"忍びの地図"だ。
ハリー…貴方って人は…。
と思わず思っては苦笑してしまった。
「さて、此処でお前を始末しても良いのだが…それを我が君は望んではおられない。」
そういうとクラウチは杖を振り下ろし、レンは何かしらの衝撃を覚悟したが何も襲っては来ない。
「1つだけアドバイスをやろう。無言呪文を習得する事だ。無言で呪文を唱えられる様になれば、更に相手の隙をつける…」
レンは両手足を縛られれば、そのまま暗い闇の中へと幽閉されたのだった。