「ワシは殺されぬ。事が済むまでは…自分が困るだけだからな。この脚では足手纏いになるだけだ。それよりもお前1人で行く方が成功率は高い。お前が再び此処に戻って来ようとも恨みはせん。」
「何があってもダンブルドア先生が貴方を見つけて下さる様、最善を尽くします。」
レンはムーディを軽く抱きしめながら寄りかかっていた壁に一度軽く触れて「行ってきます。」そう一言漏らすと、神経を集中させ姿くらましをした。
ムーディの言う通り魔法は成功したが、それも短い距離…ムーディの部屋に出れただけだった。
急げ、急ぐんだ…。
レンは魔力を探しながら全速力で校内を走った。
息が上がり目眩もし、足が絡れ転びそうになっても足を止めてはいけない。
ガーゴイルの前へ来ればレンはハッとした。
そう、合言葉を知らないのだ…。
「レモンキャンディ!」
お願い、開いて!そう言いながらガーゴイルの像を叩いたり前に知っている合言葉を口にしてみたがそれは開かない。
どうしよう、どうしよう…焦るばかりで頭の中が真っ白になってしまう。
「ダンブルドア先生…!開いて…!お願い…!アルバスお爺ちゃん!」
その扉はまるで自分を拒んでいるかの様に固く閉ざされたままだった。
すると、此方へ向かってくる魔力を感じ、レンは咄嗟に逃げ道を探す。
意を決し窓から外に出れば、屋根伝いにレンは歩いていく。
取り敢えず森へ行こう…そこならば、例え見つかって魔法を放たれても木が障害物となってくれる。
そしてハグリッドと接触するのだ…そうすれば、ダンブルドアの所へ行ける。
屋根から滑り落ちそうになった時、ふと窓の方を見れば、其処にちらりと映ったのはスネイプがあった。
その魔力が誰の物か考えられない程、見分けがつかない程、自分は今追い込まれているんだな…とレンは苦笑してしまった。
何があっても足は止められない。なんて言ったって、クラウチジュニアはムーディの魔法の目を持っているのだ。
憎たらしい行動は何度もあったが、去年狼になったリーマスから体を張って守ろうとしてくれたスネイプを命の危険に晒す事はできない。