「貴方は、船へ戻るの。この人…操られているんだわ…正気の顔をしていないもの!」
「ハーミー-オウン-ニニー、泣かせる事、ヴァクは出来ない!」
どうしてこうも自分の周りは、レンを置いて逃げるという事をしてくれないんだろう…とレンは苦笑してしまう。
レンはふらつく脚をパチンと叩き気合を入れ、クラウチ氏が放つ魔法を避け、無言呪文で武装解除の呪文を唱えるも、あっさりと防がれてしまう。
そして何度か攻防を繰り返し、バランスを崩したレンを庇う様にクラムが赤い閃光に当たってしまい彼は動かなくなってしまった。
「クラム?クラム!」
「クルーシオ!」
クラムを揺さぶり起こそうとしているレンにクラウチ氏は磔の呪いをかけ、森の中に苦痛の声が響き渡る。
「大人しくしていないからそうなるんだ。」
クラウチ氏が感情の篭っていない声でそう言えば、レンを引き摺る様にして、足早に何処かへ歩いて行った。
抵抗すれば直ぐに磔の呪いをかけられ、次第にレンは大人しく促されるまま歩き続ける。
何回か磔の呪いをかけられた時「レン!?」とハリーが自分を呼ぶ幻聴まで聞こえ、レンは苦笑しか出なかった。
クラムは…大丈夫だろうか…?
ダンブルドアは来てくれただろうか…?
「そのまま、ホグズミードに向かって歩け。」
いつの間にか森を抜け、見覚えのある道まで来ていれば、そういう声が響く。
手には小さなビー玉の様なものを握らされ、レンは言われた通りに歩けば遠く離れた所から見張る様にクラウチ氏がついて来る。
もう何時間歩いたか判らない。
引き摺られ呪いをかけられ、歩かされ…とっくに体力は尽きそうでフラフラだった。
ホグズミードが近付きある岩の所まで来るとクラウチ氏の気配がなくなり、レンはチャンスかと思った。
が、直ぐに何度も気配を探っていた、あの偽物のムーディの魔力を感じレンは苦笑した。