巡回をし続けたある日の晩、か細い少女が月明かりに照らされているのを見かけ、シリウスは一直線に走った。
ずっと…ずっと探していた彼女の姿があったからだ。
「ワン!」
「パッドフット…?」
レンがそう言えば、答える様に尻尾を一振りしてみせる。
思わず変身を解いて抱きしめようとしてしまうも「だめ!」とはっきりレンの声が聞こえ、思いとどまれば、レンはゆっくりと犬となったシリウスの頭を撫でれば優しく抱きしめた。
彼女の温もりに無事で良かった…生きていてくれた…そういった安堵感があったが、それも一瞬だった。
最後に逢った時よりも痩せ、引き摺られたかの様な細かな傷だらけで心身共に疲れた様子に、もしかしたら磔の呪いも受けていたのかもしれないと感じ胸が締め付けられる。
「約束を破ってごめんなさい。貴方に無茶をさせてしまったわ。けど私は大丈夫だから、心配しないで。…気を付けて…ゴブレットに名前を入れた人が見張ってる。」
そう僅かに聞こえた言葉から自分の身体が強張るのが判る。
ムーディに化けているとすれば、あの魔法の目を持っているだろう。
そして…ムーディを捕える程の実力を持った人物だ。
犬の自分にさえ警戒をし杖を向けているに違いない。
もし自分を狙った魔法にレンが撃たれたら…
そう考えれば下手に動く事が出来なかった。
犬の自分が、どうすればこの場からレンを連れ去り助ける事が出来るのだろうか…。
考えを巡らせていれば「そろそろ時間みたいね。」とレンが呟き、シリウスは慌ててレンの服を噛み、行ってはいけないと訴えかける。
「ゴメンね、パッドフット。私は行かなければ駄目なの。此処で拒んだら大切な者達が傷つけられてしまうから…守りたい命が守れない。私はもう誰1人としてもう失いたくない…その為なら私なんだってやれるわ、大丈夫。…だから…暫くの間、さようなら。」
その言葉を最後に、一瞬自分の身体が浮きかけるのと同時にレンの姿が消え、噛んでいた服の切れ端だけが残され、シリウスは自分の無力さと悔しさで心がいっぱいになり、ただそこで叫び続けるしかなかった。

その後、重い足取りで塒に辿り着けば、1匹の梟が其処でシリウスの帰りを待っていた。
脚にはメモの様な物が結び付けられており、シリウスは慌てて人の姿に戻ればそれを解く。
ジョージ・ウィーズリーという双子の方割れからの返事で、たった一言書いてあるだけだった。