「試合に賭ける気はないかね?アーサー。」
バグマンは黄色と黒のローブのポケットに入った金貨をチャラつかせながら、誰が何に賭けたなど言いながら熱心に誘っている。
相当額の金貨を持っている様だ。
「それなら…そうだな…アイルランドが勝つ方にガリオン金貨1枚じゃどうだ?」
「1ガリオン?」
バグマンは残念そうだったが、気を取り直した。
「よしよし…他に賭ける者は?」
そう子供達に声をかけるバグマンに「妻が嫌がるから…」とアーサーは言ったがそれに乗ったのはフレッドとジョージだ。
「賭けるよ。37ガリオン、15シックル、3クヌートだ。」
「止めた方が良いわよ…?」
金貨を急いで集めているジョージ達にそう言ったが、ジョージはウインクをしただけで、賭ける気満々の様だ。
「…それなら止めないけど…何があっても知らないんだから。」
それにジョージは心配しすぎだと笑ってお金をバグマンに渡す。
「まずアイルランドが勝つ。でも、ビクトール・クラムがスニッチを取る。あ、それから「だまし杖」も掛け金に上乗せするよ。」
「バグマンさんに、そんなつまらない物をお見せしては、駄目じゃないか。」
パーシーが口をすぼめて非難したが、バグマンはそうとは思わなかったらしい。
それどころかフレッドから杖を受け取ると子供っぽい顔が興奮で輝き、杖が大きな口を開けてガアガア鳴くゴム製の玩具に変われば大声を上げて笑った。
「素晴らしい!こんなに本物そっくりな杖を見たのは久し振りだ。私ならこれに5ガリオン払っても良い!」
パーシーはそれに驚いて、こんな事は承知できないとばかりに身を強張らせた。
アーサーは子供達に賭けをしたなど絶対にモリーに言っては駄目だと口止めしたが、バグマンはそれを笑いながら「子供じゃないんだ、自分達のやりたい事は判ってるさ」と言った。
だが、ジョージ達が賭けた内容には無理があると思ったのか素晴らしい倍率をくれ、杖には5ガリオンの値をつけて掛け金に上乗せしてくれる。
そしてそれをノートに書き加えれば、ジョージに羊皮紙のメモを渡したのをレンは見て溜息を漏らした。