「準備が出来ました。ご主人様。」
「さぁ…」
ワームテールはその声に従うかの様に、包んでいたローブを開き、ヴォルデモートの姿を露にさせると、自分の首にヴォルデモートの手が巻きついたのを確認してから、その体を抱きかかえた。
ワームテールは、ヴォルデモートを大鍋の中に丁寧に入れると、ジュッという音と共にその姿は液面から見えなくなる。
「父親の骨、知らぬ間に与えられん…父親は息子を蘇らせん!」
ワームテールは呪文のようなものをそう唱えると、杖を振り上げる。
するとハリーの足元の表面がぱっくりと割れ、ワームテールが命ずるがままに、細かい塵、芥が宙を飛び、静かに鍋の中に降り注ぐ。
その液面はシュウシュウと音を立て火花を四方八方に散らしながら受け入れれば、鮮やかな毒々しい青色に変わる。
「娘のその髪、魔力と共に差し出されん。娘は父親を蘇らせん!」
ワームテールはレンの髪留めを杖を振るって破壊すれば、乱暴にその髪を掴み、ナイフで切り取り鍋の中に入れる。
レンの髪は不揃いな長さになり、パラパラとその頬を撫でた。
「しもべの肉……よ、喜んで差し出されん。…しもべは…ご主人様を…蘇らせん。」
ワームテールは指の欠けた右手を前に差し出すと、髪を切ったそのナイフで自分の手を切り落とした。
レンはワームテールのひとつひとつの動きから目を逸らす事が出来なかった。
大鍋にバシャッと音を立ててワームテールの手が落ちるのと同時に、彼の絶叫が辺りを貫く。
痛みに耐えながら、地を這い、ハリーの側まで来るとレンを一度見てから立ち上がり、レンがいくら首を横に振ろうとその儀式を辞めようとはしない。
「敵の血…力ずくで奪われん。…汝は…敵を蘇らせん。」
ワームテールはハリーの右腕の肘の内側を突けば、鮮血が切れたローブの袖に滲み、滴り落ちる。
ワームテールは痛みに喘ぎ続けながら、ポケットからガラスの薬瓶を取り出しハリーの傷口に押し当てて、滴る血を受けた。
それを持ち、よろめきながら大鍋に戻り、その血を中に注ぐと、液体はたちまち目も眩む様な白に変わった。
任務を終えたワームテールはがっくりと鍋の側に膝を付き、崩れる様に倒れた。
手首を切り落とされて血を流している腕を抱えて地面に転がりワームテールは喘ぎ啜り泣いていた。