「全員がこれに気付いた筈だ…そして今こそ判るのだ…今こそはっきりするのだ…」
ワームテールの叫びを無視し、その印が真っ黒に変わるとその腕を放し、残忍な満足の表情を浮かべて暗い墓場を一渡り眺め回す。
「それを感じた時、戻る勇気のあるものが何人居るか、そして離れようとする愚か者が何人居るか。」
ヴォルデモートはハリーとワームテールの間を往ったり来たりしながら、呟き、墓場を見渡し続ける。
それから12分たった頃、ヴォルデモートはハリーを見下ろし、残忍な笑いを浮かべる。
「ハリー・ポッター、お前は、俺様の父の遺骸の上におるのだ。マグルの愚か者よ。…丁度お前の母のように。しかしどちらも使い道はあった訳だな?お前の母は子供を守って死んだ…俺様は父親を殺した。死んだ父親がどんなに役立ったか、見た通りだ…」
ヴォルデモートは動きを止めずにそのまま自分の過去を話し始めた。
丘の上の館…先程までレン達が隠れていたその館はヴォルデモートの父親が住んでいた館で、母親はこの村に住む魔女だったそうだ。
魔女は父親と恋に落ちた。しかし正体を打ち明けた時父親は母を捨てた。彼は魔法を嫌っていたのだ。
ヴォルデモートの母を捨てれば、その男はマグルの両親の元に戻った。
ヴォルデモートが生まれる前の事で、母はヴォルデモートを産むとその命を落としたそうだ。
残されたヴォルデモートはマグルの孤児院で育ち、ヴォルデモートは奴を見つけると誓った。
自分の名前をつけたマグルの男に復讐したのだと言う…。
「俺様が自分の家族の歴史を物語るとは…なんと感傷的になったものよ…しかし、見ろ、ハリー!俺様の真の家族が戻ってきた…」
ヴォルデモートのその言葉と同時に、マントを翻す音が辺りに漲った。
墓と墓の間から、一意の樹の陰から、暗がりという暗がりから魔法使い達が姿現ししていた。
その全員の姿が黒いローブを身に纏い、そのフードを被り、骸骨のような仮面をつけている。
皆ゆっくりと、慎重に…まるでその目を疑う様に全員が近付いてきた。
そして目の前に居る人物こそ本物の主と判ると、1人また1人とヴォルデモートの前に跪いてローブにキスをし、それから退いてヴォルデモートを囲む様に円を作るが、その所々が穴が開いている。
きっとそこがヴォルデモートの言う離れようとした愚か者…の穴だろうとレンは思った。