レンの背後に1人立つと、大蛇はその締め付けを解き草地に円を描く様に這い擦っていく。
レンはその体が自由になると、まずは壊された髪留めを拾い上げポケットに押し込む。
ハリーを解放するにも何をするにも、まずは杖が必要と考え、ゆっくりとゆっくりと後退しセドリックの側へと行こうとするが、1人の男に捕まえられレンはその者を睨み付ける。
「大人しくなさってください、姫君。」
そう囁く様に言った聞き覚えのあるその声に、レンは驚き、その何処かにはやっぱり来ていたかという複雑な心境になった。
「よう来た。死喰い人達よ」
ヴォルデモートは静かに言った。
「13年…最後に我々が会ってから13年だ。しかしお前達はそれが昨日の事であったかの様に、俺様の呼びかけに応えた…さすれば、我々は未だに闇の印の下に結ばれている!それに間違いないか?」
ヴォルデモートは恐ろしい顔を仰け反らせ切れ込みを入れたような鼻腔を膨らませた。
「罪の臭いがする…辺りに罪の臭いが流れているぞ」
その声に、全員に震えが走った様だった。
現にレンの腕を掴んで捉える彼の手も小さく震えている。
「お前達全員が無傷で健やかだ。魔力も失われていない…こんなに素早く現れるとは!…そこで俺様は自問する。この魔法使いの一団はご主人様に永遠の忠誠を誓ったのに、なぜそのご主人様を助けに来なかったのか?」
誰も口をきかなかった。
「そして自答するのだ…奴らは俺様が敗れたと信じたに違いない。いなくなったと思ったのだろう。奴らは俺様の敵の間にスルリと立ち戻り、無罪を、無知を、そして呪縛されていた事を申し立てたのだ」
それならばと俺様は自問する…とヴォルデモートは呟くように囁く様に言葉を続ける。
「何故奴らは俺様が再び立つとは思わなかったのか?俺様がとっくの昔に死から身を守る手段を講じていたと知っているお前達が、何故?生ける魔法使いの誰よりも俺様の力が強かった時、その絶大なる力の証を見てきたお前達が、何故?…そして俺様は自ら答える。多分ヤツラは、より偉大な力…ヴォルデモート卿さえ打ち負かす力が存在するのではないかと、信じたのだろう。多分あの凡人の穢れた血のそしてマグルの味方、アルバス・ダンブルドアにか?」
ダンブルドアの名が出ると輪になってた死喰い人達に動揺が走り、ある者は頭を振りブツブツ呟いたが、ヴォルデモートはそれらを一切無視した。