「ルシウス…抜け目のない友よ…」
ヴォルデモートはワームテールを目で追い、追いかける様に近付くと、その隣の男に向かって囁いた。
自分の直ぐ目の前にヴォルデモートが居る…自分に杖があれば今すぐにでもアバダケダブラを唱えてやるのにと、レンは唇を噛み締めた。
「世間的には立派な体面を保ちながら、お前は昔のやり方を捨ててはいないと聞き及ぶ。今でも先頭になって、マグル虐めを楽しんでいる様だが?しかしルシウス、お前は一度たりとも俺様を探そうとはしなかった…クィディッチ・ワールドカップでのお前の企みはさぞかし面白かっただろうな…しかしそのエネルギーをお前のご主人様を探し助ける方に向けた方が良かったのではないか?」
「我が君、わたくしは常に準備をしておりました。」
ルシウスはレンにいつも話す様な声色で素早く答える。
「貴方様の何らかの印があれば、貴方様のご消息がチラとでも耳に入れば、わたくしは直ぐお側にはせ参じるつもりでございました。何事もわたくしを止める事は出来なかったでしょう…」
「それなのにお前は、この夏、忠実なる死喰い人が空に打ち上げた俺様の印を見て逃げたというのか?」
ヴォルデモートは気だるそうに言うと、ルシウスは突然口を摘むんだ。
「そうだルシウスよ、俺様は全てを知っているぞ…お前には失望した…だが…」
ちらりとレンの方をヴォルデモートは見る。
「その俺様の娘がダンブルドアの策で庇護されるまでは、お前が娘を自分の子供の様に育てていた事も知っている。知恵を授けその力にも目覚めさせたと。…娘の成長には驚いた。誰よりも早く俺様の下に辿り着いたのだからな。」
クレスメントの力は時が経つにつれて徐々に使えるようになってきていたと自分では認識しているレンは、何の事か判らないといった表情を浮かべ、ルシウスとヴォルデモートを見れば、ヴォルデモートは冷たく笑みを浮かべる。
「これからはもっと忠実に仕えて貰うぞ」
「勿論でございます、我が君…お慈悲を感謝致します。」
ヴォルデモートはルシウスの隣に空いた2人分程の空間を立ち止まってじっと見詰めた。
そこの空間はレストレンジというものが立つはずだったらしい。
その者は今もアズカバンにおり、アズカバンが開放された時には栄誉を与える事、吸魂鬼や巨人も呼び戻そうと話せば更に歩を進めた。
マクネアには今まで魔法省で危険動物の処理をしている事を知り、これからはもっと良い犠牲者を与えてつかわすと、クラッブとゴイル、そしてノットという人物に対しては今度はもっとましな事をしてみせろと、そこに現れた死喰い人の1人1人にヴォルデモートは声をかけて歩き終えると、輪の中で1番大きく開いている所に立ち虚ろな赤い目でその空間を見渡した。