「其処を退け。」
「随分楽しそうな遊びをしているじゃない。私だけ仲間外れなんて狡いわ…それに貴方が一方的なのもつまらない。今度は貴方が痛みを味わう番よ。あれがどれだけ痛いか、私が教えてあげる。」
レンは震える手を震えぬ様にしっかりともう片手で押さえながら、自分に出来る限りの強気な言葉をヴォルデモートに浴びせれば、彼は一瞬目を見開いてみせ、直ぐに冷たい高笑いを辺りに響き渡せる。
「さすが俺様の娘だ。度胸がある…それ程まででないとつまらん。俺様の右腕にさせられるだけの才能がある。…良いだろう、父自らお前に"教育"をしてやろう」
「待て!」
ハリーは墓石の裏から真っ直ぐに立ち上がり、杖を構えるレンの手を片手で掴むとその手を下ろさせ、片手を強く繋ぐ。
「僕との決闘の最中だったじゃないか。受けて立つ!」
ハリーは手を繋いだままレンを自分の後ろにやる様に1歩前へ進み出れば、ヴォルデモートはその瞳を妖しく輝かせ、口元に冷たい笑みを浮かべる。
「エクスペリアームズ!」「アバダケダブラ!」
2人の呪文が同時に唱えられ、ヴォルデモートからは緑の閃光、ハリーからは赤い閃光が飛び出し、2つの閃光が空中でぶつかった。
すると不思議な事に、閃光は、まばゆい一筋の金色の糸のようになり、2人の杖を激しく振動させる。
ハリーはレンを一度その瞳で見てから手を放し両手で杖を押さえれば、2人は空中に浮き上がり、墓石から離れて滑る様に飛び、墓石も何もない場所に着地すると、2人を繋いでいた金色の糸が裂け、杖同士を繋いだまま光が一千本あまりに分かれ、ハリーとヴォルデモートの上に高々と弧を描き、2人の周りを縦横に交差し、やがて2人は金色のドーム型の網、光の籠ですっぽりと覆われた。
「手を出すな!命令するまで何もするな!!」
着地した2人を取り囲むように移動した死喰い人にヴォルデモートは叫び、レンも誰にも邪魔されぬようにハリーの近くまで移動する。
その時、レンは1度聞いた事がある美しい音色が耳に届き、心の中の恐怖や不安が全て消されたかの様に安心感が満たしていく…。
ハリーにとっても希望の音色…ダンブルドアを思い出させる音色…そう、不死鳥の歌だ。