ハリーは何か呟く様に口を動かせば、2つの杖を繋ぐ線の間にある球体がヴォルデモートの方へと移動し、その杖の中にゆっくりと吸い込まれる様にして消えていく。
するとその杖は激しく震え、辺りに響き渡る苦痛の叫びを響き渡せると、濃い煙の様なものがまた1つまた1つと人の形になって姿を現していく…。
1つはセドリック、老人、バーサ…そして、リリー、ジェームズ…。
煙が現れる度にハリーは口を動かしているのがレンには見えた。
きっとあのゴーストのような者が、ハリーに力を貸し、そして勇気付けてくれているのだろうとレンは思った。
セドリックが1度レンの方を見て何か口を動かし、優しい微笑をみせると、ハリーは杖を無理矢理上に挙げ繋がりを切って走り出す。
「レン!!」
手を差し出されてレンもハリーの側に駆け寄り一緒にハリーの行く方へと走り抜ければ、死喰い人は逃がさない様に後を追いかけてくる。
ヴォルデモートはあの煙のような者に少しの間動きを止められている様で「失神させろ!」と死喰い人に命令を下していたのをレンははっきりと聞いた。
「セドリックが、キミに伝えてくれって…セドリックは…」
ハリーは走りながら口を開けば、1つの呪文が天使の像の翼にあたり、片翼を破壊する。
「後で帰ったら聞くわ。」
ハリーとレンは像を盾に隠れ、一層激しくなった閃光から身を守る。
もう誰かがこの閃光を防がなければ逃げ切れない程に襲われ身動きが取れなくなってしまえば、レンは真っ直ぐにハリーを見つめる。
「ハリー、呪文は私が防ぐ。必ず戻るから先に帰ってて。」
そう、此処で魔法を防ぐ事が出来るのは自分だけだ。
泣き喚くだけの自分じゃなく、今こそ自分に出来る精一杯の事で大切な仲間を守りたい。守るべきなんだ。
「駄目だ!レンを置いていけない!」
「私は姿くらましが使えるわ。杖があれば無い時より魔法を使う事が出来る。私にはまだやる事が残ってるの。」
ね?と優しく微笑み、やる事が残ってると精一杯の嘘を吐いた。
が、ハリーはその瞳を潤ませ頷こうとはしない。
レンはハリーの瞼にキスをし涙を拭うと、今出来る1番の微笑を彼に向け立ち上がり、クレスメントの力を使い閃光を防ぐ結界を張る。