「あの鼻曲がりの老いぼれに随分と洗脳された様だな…昔を思い出すのだ。俺様に連れられハリーの両親を殺しに行ったあの晩の事を…クレスメントのその力は脳裏に焼きついたその記憶すら失わせる事は許さないという…今も夢に見てはその光景に血が騒ぐのだろう?お人好しの魔女のフリはもう良いのだ、父は蘇った。その瞳を本来の姿に戻し、父に忠誠を誓うのだ…。」
そう冷たく言えば、レンははっきりと首を横に振る。
その姿に、ヴォルデモートはレンの身を切り裂く呪文を唱え、レンはその激痛と共に意識を手放した。
次に目を覚ました時は前にいた屋敷の出入り口の側だった。
シリウスの時のように杖が手から離れなかったのか、レンの手にはしっかりと杖が握られている。
だが、自分で自分の体を動かせる程の力も、魔法を唱えられるだけの力も今のレンには残っていなかった。
「少しは父に従う気になったか?」
レンが目を覚ましたのに気付けば、そう楽しそうに問い、レンは首を横に振る。
「子供の反抗期とは…手のかかるものなのだな…だが、俺様は知っている。お前は俺様の側でしか生きられない。その身に流れる俺様の血が、だんだんとお前を支配し、いつしか俺様の隣で俺様と同じ考えを持ち行動するようになる。」
レンは憎しみの篭った瞳でヴォルデモートを睨みつければ、それすらもヴォルデモートを楽しませている様だ。
「いつでも俺様を忘れられぬ様、その体に刻み込まねばならない様だ」
ヴォルデモートはレンの側に屈み、その腕に魔法を唱えようとするのを、力を振り絞りヴォルデモートを蹴り上げようと足を動かす。
だが顔の側でその足を掴まれ、脹脛の傷口に杖を刺せば、激しい熱と痛みが体を突き刺し、思わずレンは悲鳴をあげ、ヴォルデモート越しにルシウスがレンを見て複雑そうな表情を浮かべているのが見えた。
「もっと痛い目を見なければ判らぬか?」
「何度痛い思いをしたって、私は貴方には従わない!」
そうはっきり言いヴォルデモートを強い瞳で睨みつければ、今度はその杖が腹部の傷口を刺し、先程と同じ痛みが体中を襲い悲鳴を抑える事が出来ない。
磔の呪いとは違う…心までも引き裂くような酷い痛みが全身に走ったのだ。