「この人を探していらっしゃるのなら、早めに捜索なさる事をお勧めします。」
「何の話かね?」
ちょうどその時、1人の男が姿現しでやってきた。
外見はバグマンとは正反対で、シャキッと背筋を伸ばし、非の打ち所のないスーツとネクタイ姿、靴は磨きたての様にピカピカとしている初老の魔法使いだ。
短い銀髪の分け目は不自然なまでに真直ぐで歯ブラシ状の口髭は、まるで定規を当てて刈り込んだかの様だ。
「バーサの事だよ、バーティ。アーサーがミス・クレスメントにちょっと見てもらってくれてな。」
先程バグマンから名前の出たバーティ・クラウチの事だろう。
外見からしてマクゴナガル先生を男性にした様な厳しそうな人だとレンは思い、立ち上がればお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。レン・クレスメントで御座います。以後お見知りおきを。」
「バーテミウス・クラウチだ。よろしく頼む。国際魔法協力部に所属している。」
クラウチは手を差し出し社交辞令的に小さく笑み、レンも笑みを浮かべ握手を交わした。
「まぁ座れや、バーティ」
「いや、ルード、遠慮する。随分とキミを探したのだ。ブルガリア側が、貴賓席にあと12席設けろと強く要求しているのだ。」
「あーそういう事を言っていたのか。訛りが凄くてな。私はてっきりまた毛抜きを貸してくれと言ってるのかと。」
「クラウチさん!」
そう話していればパーシーは息もつけずにそう言い首だけでお辞儀をする。
「よろしければお茶はいかがですか?」
「あぁ。頂こう…有難う、ウェーザビー君」
クラウチは少し驚いた様にし、そう言えば、フレッドとジョージが飲みかけていたお茶に咽てゴホゴホとやっているのをレンはそれに笑みを浮かべ2人の背を摩った。
当の本人は耳を真っ赤にしてお茶の準備をしている。
それからクラウチは、アーサーを見て「アリ・バシールが襲撃してくるぞ。空飛ぶ絨毯の輸入禁止について君と話がしたいそうだ」と言えば、アーサーは少々うんざりした様に深い溜息を吐いた。
わが国では絨毯はマグル製品と定義されている物で、魔法をかけてはいけない物品登録簿に載っている為、輸入は出来ないと説明しているらしいが輸入させたい一心で、言っても判らない相手らしい。
それからは、バグマンが、楽しそうに皆が同意し署名した「ホグワーツで起こる事」がとても楽しみで、まだ詳細が決まっていないのに口を滑らそうとしている彼を引き連れてブルガリア側の方達の下へと消えていった。
だが、バグマンの残したその言葉は子供たちの興味を引き付けるには最適なものだった。
「ホグワーツで何があるの?」
「あの人達何の話をしていたの?」
双子はすかさず聞いたが、アーサーは微笑むだけで教えてくれない。
パーシーも「魔法省が解禁する時までは機密情報だ」と言えば、フレッドは「おい、黙れよ、ウェーザビー」と言って退けた。