第6話
夕方が近付くに連れて興奮の高まりがキャンプ場を被う雲のようにはっきりと感じ取れ、夕暮れには凪いだ夏の空気さえ期待で打ち震えているかの様だ。
試合を待つ何千人という魔法使い達を夜の帳がすっぽりと被えば、最後の慎みも吹き飛んだ。
あからさまな魔法の印があちこちで上がっても、魔法省はもはやお手上げだなのだろう、戦うのを止めた様だ。
行商人がそこいら中に姿現しをすれば、色々な珍しい商品が並び、多くの人が訪れる。
商品には興味はあるが、人混みが少々苦手なレンは苦笑を浮かべ双子の方を見れば、楽しそうに互いの顔にブルガリアの国旗をペイントしているのを見てレンはそちらに近付いていく。
「楽しそうね。」
「「勿論!」」
ニカッと同じように笑った双子にレンは笑みを浮かべれば、フレッドから丁度描いていたそれを取り上げ、国旗が描かれていない方の頬に3つ葉のクローバーを書いた。
「お、良いね。俺にも書いてくれよ。」
そう言うジョージにレンは振り向き、ジョージの頬にも3つ葉のクローバーを描けば、ちょっとした隙にジョージもレンの頬に同じ様なクローバーを描いた。
「やられたわ…」
そう漏らせば、双子はケタケタと楽しそうに笑い、レンも「もう」と言いながらも笑った。
「レン、一緒に行こう。」
ハリーはレンに手を差し出し、レンは何かと思いながらもその手を取りハリーの後をついて歩く。
ハリーはロンとハーマイオニーと共に、行商人の中を歩いて商品を見てまわっている。
「ハリー、落ちた?」
ジョージに描かれたそれを手で擦ってハリーにそう聞けば、ハリーは楽しそうに笑いながら首を振る。
「消さなくても良いじゃないか。それっぽくて。」
「ファッジと会うのよ?…もしブルガリアの大臣も同席してたら申し訳ないじゃない。」
少しだけ頬を膨らませて言えばロンは声をあげて笑った。
暫く擦っていたが赤くなるだけで消えもしないので、やっとレンは諦めて商品に目を向ける。
アイルランドは緑でブルガリアは赤に光るロゼット(黄色い声で選手の名前を叫ぶ)踊る3つ葉のクローバーがびっしり飾られた緑のトンガリ帽子、本当に吼えるライオン柄のブルガリアスカーフ、振ると国家を演奏する両国の国旗、本当に飛ぶファイアボルトのミニチュア模型、コレクター用の有名選手の人形は、手に乗せると自慢げに手の平の上を歩く優れものだ。
ロンは夏休み中この為に貯めたお金で、ビクトール・クラムのミニチュア人形を買えば、踊る3つ葉のクローバーの帽子と緑色に光るロゼットを見ている。