そして、姿を現したのは全身が汚れ疲れきった顔をしているハリーの姿とそれを支える様に歩くダンブルドアの姿だった。
どうして其処にレンの姿がないのだろうか…。
そんな疑問が頭の中を嫌な想像で埋め尽くし、それを振り払いながらも、いっきに部屋を横切りハリーを介助し椅子に座らせた。
情けなくも手が震えてしまう自分がいる事に内心苦笑をもらす。
「ハリー大丈夫か…?何があった?」
そうハリーに問うもハリーは此処ではない何処かを見ている様な瞳で何も言わず、再度急かす様に同じ質問をする。
すると不死鳥がハリーの膝に止まり、ハリーはそれを撫で意識が戻ってきた様だった。
ダンブルドアは会場であった一部始終を知らせてくれた。
優勝杯が移動キーだった事、ムーディがバーテミウス・クラウチ・ジュニアだった事…そして本物のムーディは偽者のムーディが使っていた部屋の箱の中で見つかった…衰弱はしていたが命に別状はなかった。
そして箱の底、ムーディが背凭れにしている部分にはクレスメントの紋章が浮かんでいたそうだ。
それにそっと触れれば僅かに癒しの力を感じたという…其処に閉じ込められても、自分に何かがあった時、ダンブルドアが見つけるまでの間、彼が死なぬ様レンに出来る精一杯の施しだったのであろう…
我が子ながら、本当に自分より他人を優先する子だなと思ってしまう。
そしてハリーは会場のど真ん中に優勝杯と共に戻ってきたという。
泣きながら、セドリックの遺体を抱え…ダンブルドアが駆け寄った時、第一声が「あいつが帰ってきた!ヴォルデモートが!レンが僕達を逃がしてくれた!」そう叫んだのだという。
「ハリー。迷路の移動キーに触れてから何が起こったのか、ワシは知る必要があるのじゃ。」
「ダンブルドア…明日の朝まで待てませんか…眠らせてやりましょう、休ませてやりましょう…。」
シリウスは片手をハリーの肩に乗せながらそう言ったが、ダンブルドアは優しくハリーを見つめる。
「それで救えるのなら。キミを魔法の眠りに就かせ、今夜の出来事を考えるのを先延ばしにする事でキミを救えるのならワシはそうするじゃろう。しかしそうではないのじゃ。一時的に痛みを麻痺させれば後になって感じる痛みはもっと酷い。キミはワシの期待を遥かに超える勇気を示した。もう一度その勇気を示して欲しい…いったい何が起きたのか…自ら残ったレンを救う為にも、ワシらに聞かせておくれ。」
不死鳥ホークスが一声柔らかに震える声で鳴くと、ハリーはそれに心を癒されたかの様に、ゆっくりと口を開き始めた。
あの現状で起こったすべての事を…。