第47話
************************************
レン痛みという痛みはもう既に感じずに、寒いと思うほど冷えた体…それらに此処に来て初めて死を覚悟した。
娘だから、欲しがっている力の持ち主だから…だから自分を殺す筈が無いという考えは甘かった。
彼は…誰も信じてはいない。
必要か不必要か…使える者か使えない者か…ただそれだけなのだ。
同時にハリーやジョージと"必ず帰る"そう約束した事が守れない事が悔しかった。
ただ闇に包まれ続け、自分はこのまま死んでいくんだ…
でも、ハリーは無事に逃がす事が出来た。守る事が出来たんだ…それくらい誇って散っても良いのかも知れない。
それくらいしか考える事が出来なかったが、ハリーを逃がす事が出来たあの出来事を思い出せばふと疑問が頭に浮かんだ。
ヴォルデモートの元へ届けるの事が目的で優勝カップに魔法をかけられていたのなら、なぜその優勝カップはホグワーツに帰れる移動キーになっていたのだろうか…?
クラウチが罠を仕掛けたとして、逃げられてしまう可能性のある往復分の移動キーにはしない筈だ。
そのお陰で、ばらける確率が高そうな状態での姿くらましを使う事なくハリーを逃がす事が出来たのだが…。
だが、今となっては別にどうでもいい事か…。
レンはそう思えば思わず自嘲的に笑んでしまった。
自分の方へと1つの足音が近付き自分の前で立ち止まったのが判れば、レンはとうとう自分に最後が来たのだと確信をした。
だが、予想外にもその足音の持ち主は、レンの首筋に手を触れたかと思えば小さな紙切れ1枚を握らせ、小さく「生きろ」と呟けば、そのまま階段を上っていく。
懐かしい薬品の香りがレンに力を授けてくれた様だった。
「おぉ、やっと来たか…我が友よ」
「我が君…姫君が…まだ僅かに息はある様でしたが…。」
「あぁ、俺様が教育を施した。心配は必要ない。あの娘はあれぐらいでは死ねぬのは俺様が良く知っている。」