レンはそんな声を聞きながらも、力を振り絞りその場に立ち上がろうとすれば、片足に力が入らずバランスを崩し倒れる。
すると2人の冷たい声色を持つ男は、倒れた音に話を止めて部屋出て来たのだろう、階段を下りてくる音がする。
レンは杖ごと握らされた紙をぎゅっと握り締め、遠退く意識を必死に取り止めながら、足音がする方へ顔を向けると、ヴォルデモートの嘲笑う声が聞こえる。
「やっと目が覚めた様だな。父の偉大さがこれで判ったと思うが?」
レンはそれに首を横に振り何度も言い続けた「従わない。」という言葉を口の中を血の味でいっぱいにしながらも、はっきり言えば、その場から姿くらましをし逃げ遂せた。
どこへ姿現しをしたのかは光を失ったその瞳では到底判らない事だった。
体ももう動かない…ヴォルデモートの側でなければ何処でも良い…
もう此処なら安心して眠る事が出来る。
体が酷く冷たく、疲れきってとても眠い…。
レンはそう思えば自嘲的に笑み、だんだんと意識を失っていく。
最後に自分の体に触れた何者かが居たのがレンははっきり判ったが、もうどうでも良く思え、闇に身を任せ意識を手放した。
体がふわりと浮遊感に包まれ移動する感覚に、レンは意識を取り戻す。
なんだ…自分はまだ死ねていなかった…それとも此処は地獄なのだろうか?
光というものが何も見えない…ただ自分を浮き上がらせる何かがあるのだけは判るくらいだ。
「…ダ、れ?」
声を絞り出せは、声がすると思っていなかったのだろう、側にいた人物はびくりと体を動かした。
「ど、こ…?」
「ホグワーツです、安心なさい。帰ってきたのですよ。もう大丈夫、もう何も心配する必要はありません。」
優しくけど悲しさを帯びたその声に、レンは安堵感に包まれた。