「マ、クゴ…」
マクゴナガル先生なの?と聞こうとしたがそれは咳と共に吐き出された血によってかき消されてしまう。
「今、医務室に向かってます。ダンブルドア校長にはハグリッドが知らせに行ってますよ。大丈夫です。だからもう静かになさい。」
「ほんと、…?」
そう言葉を発するとマクゴナガルはハッと息を呑んだ。
「貴女…目が…?」
それに小さく頷いて見せれば、その動きに傷が痛み小さく声を漏らす。
マクゴナガルはそれに大丈夫、大丈夫だからと言葉を詰まらせながらレンを運んだ。
何処かの扉を開ければ一斉に悲鳴の様な声が聞こえたのが判った。
「騒いではいけません。お静かに」
マクゴナガルがそう言うのが聞こえた…
慌てて口を塞ぐ音が聞こえれば、マダム・ポンフリーが手当てに必要な物を揃える音と、レンが息をする度に、空気が漏れる様な音が弱々しく室内に響く。
「急いで手当てを…私はダンブルドアの元へ向かいます。」
そう言うと促されたベッドへレンを寝かせたのだろう、布のような物に自分の肌が触れるのが判った。
レンは、痛む体に鞭をうち、手を伸ばし近くの布を掴めば、それはマクゴナガルのローブで、マクゴナガルはそれに驚き「どうしたのです?」と優しく声を掛けてくれる。
「ハ、リー」
「えぇ、隣のベッドで今は眠っています。大丈夫です、心配する事は何もありませんよ。帰ってきたのです。」
「よか…タ…」
途切れ途切れにそう言い笑って見せた。
上手く笑えていたか自信はなかったが、心配している様な声のマクゴナガルを安心させたかった。
「わ、たし…も…大、丈ブ。」
そう言えば、誰かが鼻を啜る音がし、優しく髪を撫でられる感触がするとレンはそっと手を離した。
どこからか規則正しい寝息が聞こえる…ハリーは隣で眠っていると言っていた。
この寝息はハリーなんだと、思えば心がすっと軽くなった気がした。