第48話
「痛ッ」
急に腕に走った痛みにレンは声を出すが、まだ光を取り戻していない瞳には、何が起ったのか判らなかった。
「あ、ごめん」
その声の持ち主は慌てた様子で、手に触っていた手を慌てて離した。
「ハリー?」
「うん…ごめん…僕の所為で…」
そう言うハリーにレンは声がした方に手を伸ばし、宙をさ迷っている手をハリーは優しく繋いでくれた。
「何言ってるのよ、ハリーの所為じゃないわ。」
奥から溢れてくる血の香りは、もう無くなっていた。
痛む事は痛むが、普通に話が出来る様になった事を、レンは有難く思いながら言葉を続ける。
「言ったでしょう?やる事があるって。それを行なったら…こうなっちゃっただけ。でもスッキリしたわ。ヴォルデモートにちゃんと貴方は私の父親じゃないって、貴方には従わないって伝えて、自己満足かもしれないけれど決別する事が出来たの。」
そう言うとハリーは何も言わず黙ったままだった。
「ハリーは…怪我、大丈夫?」
「キミ程じゃないから大丈夫だよ。キミ酷い怪我だよ…判る?」
「見えなくて助かったわね。」
血を見るのが苦手なのよ。とレンは冗談っぽく言うと、何を今更とハリーは少し笑ってみせた。
「そう、ハリーは笑っていて欲しい…ヴォルデモートの事で笑顔を失ってしまったら、光を失ってしまったら…それこそアイツの思うつぼよ。ハリーには私や、ロン、ハーマイオニー…他にも沢山の仲間がいる。1人じゃないから。」
レンがそう言うと、少し涙ごもった声で「うん」とだけハリーは答える。
「ハリー…沢山心配かけて、私の自己満足や我儘で貴方に辛い思いさせてしまってごめんなさい。ヴォルデモートが死ぬまで私は死なないわ…ハリーも絶対に死なせない。」
手を伸ばしゆっくりとハリーの頬があるであろう場所に手を伸ばせば、レンのしたい事を察したのか、その手を取り自分の頬を寄せてくれるハリー。
その頬は少し濡れていたが、優しく撫でて見せれば、ハリーは小さく「うん」と頷いていた。