「薬を貰ってたのか?」
「えぇ。視力が戻るようにって。貴方はどうしたの?」
1人で来るなんて珍しいわねと少し笑えば、彼は「いや、ちょっとな」と小さくもらし椅子に腰掛ける。
「貴方は今…どんな顔をしているのかしらね…困った顔?それとも悲しい顔?嬉しい顔?怒った顔?」
暫くの間の後、レンがそう言えば、ジョージは小さく首を傾げる。
「今の俺は…いつも通りハンサムで無表情も決まるカッコイイ顔をしてるぜ?」
その答えにレンはクスクスと笑った。
「目が見えなくなってから、目が見えるって事がどんなに素晴らしい事か思い知ったの…医務室に寝ていても…窓から見える風景や飾られた花…見舞いに来てくれた友の他愛もない会話に見せるいくつもの表情…」
「皆に心配かけた報いね」とレンが苦笑交じりに言えば、ジョージはゆっくりと閉じていた口を開き始める。
「俺さ…ずっとお前を心配してた。お前の姿が消えた事を知ってからずっと…」
いつにもなく、ジョージの声が真剣そのもので、レンはそのまま彼の言葉を黙って聞き続ける。
「何で1人で行かせたんだろう…そうとも思ったし、手紙の中を見てお前を助けに行こうとも思った。…けど…レンの信頼を裏切る真似だけは出来なかった…。レンは俺を巻き込みたくなくて、危険に晒したくないって言ってたしな。」
ジョージはそういうと、少し考えながら大きく息を吐く。
「俺、今回の一件で自分の中にある確かな気持ちが、自分が思ってる以上に強い事に気付かされたよ…レンが居なくなってからずっと、お前を失うのが凄く怖かった。正直、こんなにも大切に想っているなんて思わなかった。」
その言葉に、レンは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
自分がジョージの優しさに頼り、関わってしまったばっかりに…ジョージを苦しめてしまった。
それが何より悲しかった。