「あの時は私を切り捨てるんじゃなくて、一緒に連れていけ!私はお前の父親だぞ!」
その言葉にレンは顔を上げる事が出来なかった。
ただ身を小さく震わせ、小さな声で「怖かったの」と漏らせばシリウスが言葉を飲んだのが判る。
「ホグワーツ特急でルシウスに言われたの…私の決断は全てを失いかねない決断だ。って…そんな言葉に惑わされて怖がってる自分が恥ずかしくて2人には知られたくなかった。2人を信じていないと思われてしまいそうで…情けないって思われたくなかったの…。あの時、体力的にも限界だったわ。でもあそこでシリウスに逢えて嬉しかった、力を貰えたの…でも直ぐに沢山心配かけて沢山無茶させたって申し訳なくなった…その上、私と一緒に連れて行ってしまったら…私は杖もないし足手纏いにしかならない…そんな私を守りながらシリウスが戦って、もしアバダケダブラの魔法でもかけられてしまったらって…リーマスとシリウスは…私が初めて手に入れられた親よ。そんな大切な人達に嫌われたくなかった…誰かに奪われてまた逢えなくなってしまう…そんなの嫌だったの。死なせたくなかった。」
レンは自分の目頭が熱くなり、目の包帯を取ってしまえばそれで溢れ出る涙を拭く。
目の前で死んだセドリックの姿がシリウスになって光の映らないレンの目の前に写っている様だった。
「シリウス、それくらいにしてあげたらどうだい?色々辛い思いをしても生きて帰って来てくれたんだ。」
「リーマス…お前は優しすぎる。この馬鹿者に判らせなければならない事があるだろう!」
ドカドカと足音を立てて近付いて来るシリウスに、レンはお仕置きされる…と咄嗟に思ってしまい身を小さくして怯える様に震えてしまう。
あの幼い頃の様に瞳をぎゅっと閉じて襲い来るあの痛み、それが瞬間的に思い出されて身構えていたが、予想している痛みは来ず、優しくそして力強い父親の温もりに包まれていた。