ルシウス・マルフォイに全てを失いかねない決断だと言われてから、ずっとシリウスやリーマスを失う事がとても恐ろしかったのだと言う。そればかりかそう言葉に惑わされている自分を知られ2人に嫌われるのも怖かった。
あの時シリウスと出逢えて事はとても嬉しいのと同時に申し訳なさでいっぱいになっていた様だ。
そのまま杖を持たず戦えない自分と一緒に連れて行く事が、シリウスを死なせてしまう事に繋がる。そう恐れてスカートの一部を切り捨て連れて行く事を拒んだ。と、レンは告白してくれた。
そう言いながら涙が溢れてきてしまったのだろう、レンは邪魔だと言いたげに包帯を取り、それをハンカチ代わりにし始める。
その姿が不憫だったのだろう。
「シリウス、それくらいにしてあげたらどうだい?色々辛い思いをしても生きて帰って来てくれたんだ。」
と、リーマスが止めに入った。
「リーマス…お前は優しすぎる。この馬鹿者に判らせなければならない事があるだろう!」
そう言いながらレンに近付いていけば、レンは怯える様に震え始め、まずはそれを安心させる様にシリウスはレンを抱きしめ、その胸に顔を埋めさせる。
怯えなくて良い。もうお前を叱るという体で傷付ける者は此処には誰1人としていないのだから…。
それが伝わってくれたら…と、シリウスは思っての行動だった。
「どれだけ心配したと思ってるんだ…。何度も1人で抱え込むなと言っただろう…。お前がそう恐れるのと同じ様に私達もずっとお前を失うんじゃないかと気が気じゃなかったんだ。1人で動く前に知らせてくれ…頼む。」
自分の想いが伝わったのかは判らないが、レンは堰を切った様に声を上げて泣き出しては、何度も「ごめんなさい」と謝り、シリウスにしがみ付いた。
レンが赤ん坊の頃に1度だけこういうシーンがあった。
レンに結局は話す事の出来なかった、最大に愚かだった記憶のひとつだ。