彼女にとってシリウスとの記憶は再会したこの2年間だけだろう。
それなのに父親として認めてくれている。そしてあの相手に対して決別をしてくれた。
その事に嬉しさ半分、その所為でこの大怪我を負ったという心配やら色々な感情が混ざり、複雑そうな表情をしてしまえば、リーマスも同じ様な顔をしていた。
「だがね、シリウス…気を付けてやらねばいけない事があるんだ…。」
その言葉にシリウスは首を傾げたが、リーマスは意地でも今その事をレンに知られたくないのだろう。
シリウスの側にくれば、ある言葉を耳打ちした。
シリウスは思わず耳を疑い、思わずレンの傷を確認してしまえば、それは嘘偽りがなかった。
レンの決断や意思を嘲笑うようなヴォルデモートの行動に怒りや殺意を覚え、思わず唸り声を上げてしまう。
「…怒っているの…?」
その声で目を覚ましてしまったレンに、シリウスは慌てて怒りを抑える。
「起こしてしまったな。何でもない、休んでいなさい。」
「私の、所為よね?ごめんなさい…でも、傍にいて、嫌って何処かに行ったりしないで?」
弱々しい声色と発言にシリウスは安心させる様に額に口付けをすれば、レンの口元が少しだけ緩み、リーマスが片膝をついていた所へも片手を伸ばせば、リーマスはその手を取り優しく撫でてやってくれた。
するとレンはそれに安心したのだろう、すぐに意識を手放した。
気が付けば、この酷い傷故に発熱し始めており、その所為で意識が朦朧としているのだろうとシリウスは察する。
「寝かせてくる。」
そう言いレンの部屋まで彼女を運んでいけば、毎度思う事なのだが、必要最低限の家具しかないあまりにも殺風景な部屋に苦笑が漏れる。
このぐらいの年頃の女の子ならば、ぬいぐるみのひとつやふたつあってもおかしくないだろう。
それがないのなら、花やら可愛らしい雑貨や、玩具の数々。
そういったものの面影が何一つ見えなかった。