「さて、次は…どうぞ杖を高く掲げてください…アイルランド・ナショナルチームのマスコットに向かって!」
そうバグマンの声が轟き、レンはまたフィールドの方へ視線を向ける。
すると大きな緑と金色の彗星のような物が、競技場に音をたてて飛び込んできた。
上空を一周してから2つに分かれ、少し小さくなった彗星が、それぞれ両端のゴールポストに向かってヒューッと飛んだ。
突然二つの球を結んで競技場に跨る虹の橋がかかるとレンは歓声を漏らした。
「綺麗…」
虹が薄れると、2つの光の球は再び合体しひとつになる。
今度は輝く巨大なシャムロック…三つ葉のクローバーを形作り、空高く上るとスタンドの上空に広がった。
するとそこから金色の雨のような物が降りそがれていく。
そう、その金色のものは紛れもない金貨だ。
「レプラコーンだ」
アーサーの言葉にレンは眩しそうにしながらシャムロックを眺める。
すると驚いたことに、それは顎鬚を生やした何千という小さな男たちの集まりだったのだ。
彼らは皆赤いチョッキを来て手に金色か緑色の豆ランプを持っている。
お金とは人を醜くさせるもので、金貨を拾おうと椅子の下を探し回り奪い合ってる観衆が沢山いた。
巨大なシャムロックが消え、レプラコーンはヴィーラとは反対側のピッチに降りてきて試合観戦の為胡坐をかいて座った。
次にバグマンはブルガリア・ナショナルチームの選手達を紹介し始めた。
ディミトロフ、イワノバ、ソグラフ、レブスキー、ボルチャノフ、ボルコフ…
皆、ブルガリアのサポーター達に熱狂的な拍手で迎えられて、箒に乗った真っ赤なローブ姿がはるか後方の入場口からピッチに飛び出してくる。
あまりの速さに姿がぼやけて見える。