「トロイ先取点!10対0アイルランドのリード!」
先取点を祝う様にレプラコーンが空中に舞い上がり、輝く巨大なシャムロックを形作る。
その反対に、ピッチでヴィーラが不機嫌な顔でそれを見ている。
「トロイ、マレット、モランの連携プレイは最高なんだ。」
ジョージは興奮気味にそう教えてくれ、悪戯の事を話す時と同じ位にその瞳が輝いている。
そんなジョージを少し嬉しく思いながらも、ジョージのお蔭で、クィディッチについてはあまり知識のないレンでも楽しく試合を観る事が出来る。
最初の10分でアイルランドは2回得点し、得点を広げれば、緑一色のサポーター達から雷鳴のような歓声と嵐のような拍手が沸き起こる。
「けどブルガリアだってこのまま黙っちゃいないさ。」
ジョージの言う通りだった。
ブルガリアのビーターは、アイルランドのチェイサーに向かって思い切り激しくブラッジャーを叩きつけ、チェイサー3人の結束を封じ始めたのだ。
そして、ブルガリアが初のゴールを決めた。
「耳に指で栓をして!」
アーサーの言葉で今度は子供達も指で耳栓をすれば、先程の様に身を乗り出す人はいなかった。
初のゴールを祝って、ヴィーラが祝いの踊りを始めていたのだ。
「うおっ、これは!」
バグマンが試合を解説しながら唸り声を上げれば、10万人の観衆が息を呑む。
2人のシーカー、クラムとリンチがチェイサー達の真ん中を割って一直線にダイブし始めたのだ。
「借りて良い?」
ジョージは万眼鏡を膝の上に置いて使っていないレンに声をかければ、レンはニッコリ微笑んで万眼鏡をジョージに手渡す。
ジョージは、万眼鏡に付いているつまみを調整しながら、それをじっくりと眺め続ける。
「サンキュ、面白い事が始まるよ。」
「スニッチを見つけたの?」
「いや…」
2人は物凄い速さで地面に向かって急降下を続けている。