「レン!」
そう名を呼んだのはビルだった。
「ビル!皆は?」
「子供たちは皆、森へ逃げる様に言った。他は魔法省の助っ人だ。」
「それじゃ、私も「キミは兄弟達を守って欲しい。あいつらだけじゃ不安な所があるから。」」
レンが口を開いたのを無理矢理止める様に、ビルはそうレンに告げ、反論される前に「頼んだよ」とウインクし走り去ってしまう。
レンはそれに少し溜息を吐きながら、森の方へと進んでいく。
「うわーーんっ!」
「大丈夫、だから泣かないで?」
泣きじゃくる子供とぐったりと倒れている女性…そしてその側に1人の男性が子供をあやすかの様に声をかけている。
「何方か存じませんが、どうかその子を連れて・・・早く!」
「やだぁぁ…ママぁー」
「大丈夫、必ず助けますから。」
そう彼は母親を宥め、子供を安全な場所まで下がらせると、魔法で母親を押し潰そうとしているテントの破片を吹き飛ばした。
吹き飛ばせばはっきりと判る母親の傷・・・
早く癒さなければ命も危うい・・・
「退いて。」
「キミは…」
彼はそういうとレンの顔をジーッと見ているが、レンはそんな事は気にもせず母親の傷に手を翳しゆっくりと瞳を閉じる。
「じっとしていて下さい。直ぐに終わりますから。」
レンは神経を集中させてクレスメントの力を使えば淡く暖かい光が包み込み、その者の傷を癒していく。
「無理をすれば傷が開いてしまうから、なるべく無理をしない様に…落ち着いたら病院へ行くと良いわ。」
母親は立ち上がると子供を抱きしめ、2人にお礼を言えばその場から足早に立ち去っていく。