「さっきはどうも。大丈夫だったかい?」
そういう男性にレンはきょとんとしてもう1度彼の顔を見れば先程の青年、セドリックだった。
「あ…貴方だったの…ごめんなさい、よく見てなくて。」
レンのその言葉に、気にしないでと小さく首を横に振り軽く微笑めば、すぐに表情は険しいものへと戻る。
「僕は森へ避難を促しながら此処まで来たんだ。キミの方は?」
「同じ様なものよ。戦うと言ったのだけれど…そうして欲しいと頼まれてしまって。」
そう言えば、どこか納得したような嬉しそうな笑みを浮かべるセドリックにレンは小さく首を傾げる。
それから2人は目的が同じ為、森を目指していく。
勿論怪我をして顔を歪めている者がいれば、その者の治療を出来る限りしていきながら…。
森へ辿り着いた頃には騒音が静まりつつあり、レンもセドリックも大きく息を吐く。
「実は、随分前からキミと話してみたかったんだ。」
「へ?」
「寮も学年も違うと、なかなか機会がなくてね。不謹慎だけれどキミとこうして居られる事、少し嬉しいよ。」
急な彼の発言にレンは思わずきょとんとしてしまう。丁度辺りの様子に安心しては木に背を預け溜息を吐いたところだった。
「変な人ね。私と話してみたいだなんて。クレスメントなんて良い印象ないでしょう?」
「父さんやその上の世代はどうだか判らないけど、僕ら世代にとってはクレスメントはキミだからね、そんな悪い印象は持ってないよ。人を庇って怪我ばかりしている女の子、って感じかな。」
それにレンがきょとんとし瞳を丸くすれば、セドリックは可笑しそうに小さく笑った。