「私めの考えが正しければ…姫君のお父上は間も無く戻ってこられる。そろそろお遊びは止めていただきたく思いましてな。」
「どうしてそう思うのかしら。」
レンのその言葉に、ルシウスは腕をレンの方へと突き出し、袖をまくった。
すると今までよりもはっきりした闇の印が腕に刻まれている。
それをレンに確認させれば、ルシウスは腕を元に戻す。
「言いたい事がなんなのか、賢い姫君はお判りでしょう?」
ルシウスのその言葉にレンは小さく頷く。
「正しい判断をなさると、ルシウスは信じておりますぞ。」
「ルシウス…私は…」
ルシウスの突き刺さる様な眼差しを向けてながら、レンは声を振り絞る様にそう言えば、少しだけ首を傾げるルシウス。
「貴方には恩があります。けれど私は…父の様に生きたくはない。」
はっきりとそう言うレンの言葉にルシウスは大きく溜息をつく。
「その御決断が本当に姫君にとって正しい道なのかどうか…疑わしいものですな。そう決断なさって何が得られます?…もしかすれば全てを失いかねない選択ですぞ。」
「でも、ルシウス…私が欲しいものは貴方達と一緒にいても得られない。」
「この私めが、最善の努力を致しましょうぞ。姫君の欲しいものならなんなりと…。ですからもう1度よくお考えください、姫君。」
ルシウスは軽く一礼をし姿を消した。
レンは窓を閉めれば、そのまま外を眺めるしか出来なかった。
汽車はゆっくりと進みだし、窓を豪雨が打ちつけ、外の景色など殆ど見えていなかったが、今の彼女には景色など映ってはいない。
「レン…どうかしたの?」
コンパートメントにハリー、ロン、ハーマイオニーが戻ってくれば、ハリーはレンの様子を見てそう声をかけるが彼女から返事が帰ってくる事はない。