「レン?」
「え?」
「何かあった?」
「ううん。何でもないの…ただボーっとしていただけ。」
「大丈夫か?」
「えぇ。…でも…少しだけ休ませて。」
ハリーが心配そうにレンを見つめ、小さく頷くのを確認すれば、レンは壁に寄りかかり瞳を閉じる。
ハリーの物なのだろう、ふわりと布がレンの体にかけられるのを感じた。
ルシウスの腕の闇の印…あれが強くなるという事は、きっとヴォルデモートの力が強くなってきているのだろう…。
占い学のテストの時に聞いた”蘇る”という言葉…ハリーの傷痕が痛んだ事…ワールドカップの会場に現れた闇の印…
『全てを失いかねない選択ですぞ』
そう言うルシウスの言葉がやけに頭に響く。
今までは失う物などなく、失う事など怖くなかった…。
だが…今は怖くて仕方がない。
リーマスやシリウス、ギル…家族と呼べる人達…
ハリー、ハーマイオニー、ロン、ジョージ、フレッド、リー…仲間と呼べる大切な人達…
この人達を永遠に失う結果になるかもしれない…
そう考えてでも今の選択を貫く事が出来るのだろうか…?
寧ろ死喰い人に身をおき、彼らを守るように動く事の方が…。
そんな迷いや不安、恐怖心がレンの心から拭い去る事は出来ず、眠る事など到底出来なかった。

少し耳を澄ませば、ハリー達は魔法学校の事を話している。
ホグワーツの他にボーバトンとダームストラングという魔法学校が存在しているが、強い対抗意識の為、場所は一切明かされずに隠され続けている。
勿論、どの学校も魔法をかけて、マグルが見ればただの廃墟に見える様になっているし、マグル避け魔法、位置発見不可能魔法をかけて厳重にしてある。
ルシウスはドラコやレンをダームストラングに入れたがっていたが、ナルシッサは息子が遠くに行ってしまう事を強く反対していた。