第11話
午後になれば同級生のシェーマス、ディーン、ネビルがコンパートメントに遊びに来て、レンはそれと入れ違いになるようにコンパートメントを出て行った。
彼らと話すのが嫌だとかではなく、なんだか逢いたくなってしまったのだ…。
「何処にいるのかしら…。」
そう呟きながらキョロキョロしていれば、急にコンパートメントの扉が開き人が出てきて、レンはその人物とぶつかって体勢を崩し、尻餅をつくんだろう…と思い瞳をきゅっと閉じたが、いつまで経ってもその痛みは襲ってはこない。
「大丈夫かい?ゴメン…前を見てなくて。」
そう優しそうな声が聞こえ瞳を開けば、其処には何処かで見覚えのあるハンサムな男性…逞しい腕がレンの腰を抱く様に支えていた。
「ミスター・ディゴリー」
「セドリックで構わないよ。」
セドリックはレンの言葉に少しだけ笑みを浮かべてくれ、レンは小さく頷いてみせる。
「どこか痛む所は?」
「いいえ。貴方のお蔭でどこも。それで…あの…少しだけ離れていただいても良いかしら…心臓が口から出そうなの。」
それに慌ててセドリックは手を離すと、どこか頬を赤らめていた。
「私、余所見をしていて…本当にごめんなさい。貴方もどこか怪我とかは…?」
「大丈夫だよ。有難う。」
その言葉にホッと胸を撫で下ろせば、セドリックはクスクスと笑いレンは首を傾げる。
「いや、ごめん。もっと…こう…とっつき難い感じがこの間話すまではしていたから…普通の女の子なんだなって思って。」
「あら、ご期待を裏切ったならごめんなさいね。」
レンは少し意地悪っぽく言えば、セドリックは少しだけ焦った様な表情を浮かべ「そんな事はないから」と言うその姿に、今度はレンが笑い声を上げた。