「貴方達を探していたら、彼に気付かなくてぶつかってしまっただけよ。」
両脇から「へぇ〜」と聞いておいて興味のなさそうな声が返って来て、レンは思わず苦笑を浮かべた。
フレッドは満足したのだろう、リーの隣に座り直し、他愛もない会話をし始めている。
「この前…森の中でもアイツと一緒じゃなかったか?」
「えぇ、途中で会ったの。」
そう肯定すればジョージは少し面白くなさそうに「ふーん」と答えただけで少しだけ沈黙が走るが、気分を入れ替えて言葉を続ける。
「俺らを探してたって…何かあったのか?」
「何かなきゃ探したらいけない?」
「そういう訳じゃないけど…珍しいじゃないか。」
ジョージはリーとフレッドの会話に混ざるつもりはないのか、レンの方を向いてそう声をかけてくれる。
そう話している彼の顔には笑顔が戻り、なんだか自分も嬉しくなってしまう。
「顔色が良くないけど…本当に何もなかったのか?」
少し間が空けば、ジョージの瞳が心配そうにレンを捉え、レンは少しだけ苦笑を浮かべる。
「無かったと言えば嘘になるけど…出発前に…ちょっとね。大した事じゃないわ。」
そう言うレンの言葉に、ジョージはポンポンと頭を優しく撫でてくれる。
「無理はするなよ?」
「えぇ。有難う。」
ニッコリと微笑めば、その光景を微笑ましそうに見つめるリー達。
「本当、なんか変わったよな…。」
「そうそう。休みに入る前にしてくれた、熱い抱擁なんて俺は今も忘れられないぜ?」
フレッドは揶揄う様にそう言えば、レンは少しだけ頬を紅く染めプイッとそっぽを向く、それを楽しそうにケタケタと笑い、側まできてレンの事をぎゅっと抱き締め頬を摺り寄せるフレッド。
「なっ!」
フレッドは、彼の行動にわなわなとしているジョージの方を見てニヤリと笑み、レンはもがきやっとの事で腕をすり抜けるとフレッドをジョージの方へ突き飛ばし「近付き禁止」と言い退けてリーの隣に腰掛けた。
それに「そりゃないぜ」と反論していたが、レンがプィッとそっぽを向けば、今は諦めた様に2人でコソコソを話をし始めてしまった。