「左様。イギリスのどの屋敷よりも大勢いるでしょうな。100人以上。」
「私、1人も見た事はないわ!」
どうしたの?という視線をハリーとロンに送ったが、2人はまた始まった…と思っているような表情をしている。
「そう、日中は滅多に厨房を離れる事はないのですよ。夜になると、出てきて掃除をしたり、火の始末をしたり…つまり、姿を見られないようにするのですよ…良い屋敷しもべの証拠でしょうが?存在を気付かれないのは。」
「でもお給料は貰っているわよね?お休みは?…それに病欠とか年金とか…」
ハーマイオニーのその言葉にニックは大笑いをし始めた。
それもその筈で、屋敷しもべという者を知っている大体の魔法族はハーマイオニーのこの発言をおかしいと思うだろう。
屋敷しもべが病気でベッドに横たわり、年金生活をしている所など想像も付かない。
「屋敷しもべは病欠や年金を望んでいません!」
ニックのその言葉に、ハーマイオニーは殆ど手をつけていない自分の皿を見下ろし、やおらナイフとフォークを置き、皿を遠くに押しやった。
その行動にロンは、キミが絶食したってしもべ妖精が病欠を取れる訳じゃないと説明したが「奴隷労働」と言い、聞き入れはしなかった。
「ハーマイオニーにも美味しく食べてもらいたくて、一生懸命作ったのに…屋敷しもべ達が可哀想ね。」
ロンが糖蜜パイだ、蒸しプディングだ、チョコレートケーキだとハーマイオニーの方に漂わせる中、レンがそう漏らせば、マクゴナガルにも似た厳しい目つきで2人とも睨まれてしまい、黙りこくってしまった。
「さて」
デザートも綺麗さっぱり平らげられ、最後のパイ屑が消えてなくなり、皿がピカピカになれば、ダンブルドアが再び立ち上がり生徒全員にそう呼びかけ、大広間はまた静かになる。
「皆よく食べ、よく飲んだ事じゃろう…いくつか知らせる事がある。もう一度耳を傾けてもらおうかの。」
聞こえるのは風の唸りと叩きつける雨の音だけなほど、大広間に静寂が保たれ、ダンブルドアは言葉を続ける。
「管理人のフィルチさんから皆に伝えるようにとの事じゃが…城内持ち込み禁止の品に、今年は次の物が加わった。叫びヨーヨー、噛み付きフリスビー、殴り続けのブーメラン。禁止品は全部で437項目ある筈じゃ。リストはフィルチさんの事務所で閲覧可能じゃ。確認したい生徒がいればじゃが。」
レンはその言葉に口元に笑みを浮かべてしまう。
それでは、確認したいと思う生徒が誰も居ないと思っている事を暴露したようなものだ。