「あの人いったいどうしたのかしら…あの顔何があったの?」
「彼はオーラーなんだと思うわ…実際に闇の魔法使いと戦った傷痕ね…。…今朝助けに行ったって何があったの?」
レンのその囁きに返事を返してくれたのはハリーだ。
「誰かに襲われたって騒ぎがあったらしいんだ…ゴミ箱に魔法をかけてマグルの警官と何かあったみたいだけど…。」
その言葉を聞きながらムーディをみれば、今度は、旅行用マントから携帯用酒瓶を引っ張り出してグビッグビッと飲み、飲み終わると少し首を横に振っていた。
「先程言いかけていた事なのじゃが…」
ダンブルドアは身動きもせずに、ムーディを見つめ続けている生徒達に向かって、にこやかに語りかけた。
「これから数ヶ月にわたり、我が校は真に心躍るイベントを主催するという光栄に浴する。この催しはここ100年以上行われていない。この開催を発表するのは、ワシとしても大いに嬉しい。ホグワーツで三大魔法学校対校試合(トライウィザードトーナメント)を行う」
「ご冗談でしょう!」
フレッドの大きな声が大広間に響き渡れば、ムーディが現れてから緊張しっぱなしの大広間の空気を柔らかいものへと変え、皆が一斉に笑い始めた。
ダンブルドアはこの絶妙の掛け声を楽しむようにフォッフォッを笑っている。
「ミスター・ウィーズリー、ワシは決して冗談など言っておらんよ。とはいえ、折角冗談の話が出たからには、実は夏休みに素晴らしい冗談を1つ聞いてもらおうかの。トロールと鬼婆とレプラコーンが一緒に飲み屋に入ってな」
するとマクゴナガルが大きな咳払いをし、ダンブルドアは残念そうに「今はその話をする時ではないようじゃの」と言葉を漏らす。
そのダンブルドアが、大好きな玩具を取り上げられた少年のように見えてしまい、レンは思わず笑ってしまった。
「何処まで話したかの?おお、そうじゃ…三大魔法学校対校試合じゃったの。…さて、試合がいかなるものか、知らない諸君もおろう…そこでとっくに知っている諸君にはお許しを願って、簡単に説明するでの。その間、知っている諸君は自由勝手に他の事を考えていてよろしい。」
ダンブルドアはそう言うと、トライウィザード・トーナメントとはどういったものか説明をしてくれる。
この試合は、大凡700年前、ヨーロッパの三大魔法学校の親善試合として始まったもので、ホグワーツ、ボーバトン、ダームストラングの3校から代表者が1人ずつ選ばれて、3人が3つの魔法競技を争うもので、この方法が、若い魔法使いや魔女達が親睦を深めるのに最も有効なものだという。
だがこの試合も、夥しい死者が出た事によって中止されてしまっていた。
だが、今年我が国の交際魔法協力部と魔法ゲーム・スポーツ部とかが再開の時は熟したと判断し、選手の1人たりとも死の危険に晒されぬようにする為にこのひと夏かけて一意専心取り組んで開催される事が決定した。
「ボーバトンとダームストラングの校長が、代表選手の最終候補生を連れて10月に来校し、ハロウィーンの日に学校代表選手3人の選考が行われる。優勝杯、学校の栄誉、そして選手個人に与えられる賞金1000ガリオンを駆けて戦うのに誰が最も相応しいかを、公明最大なる審査員が決めるのじゃ。」
フレッドは立候補すると唇をキッと結び栄光と富とを手にする期待に熱く燃え顔を輝かせていた。
だがそう代表選手になる姿を思い描いたのはフレッドだけではなく、皆が皆、この発表に熱が篭っている様だ。
そんな中、レンは1人冷静に周りを見ていた。
彼女はこの競技に立候補するつもりもなければ、富も栄誉も特に興味がない。
「全ての諸君が、優勝杯をホグワーツ校にもたらそうという熱意に満ちておると承知しておる。しかし、参加三校の校長、並びに魔法省としては、今年の選手に年齢制限を設ける事で合意した…つまり17歳以上という年齢に達した生徒だけが、代表候補として名乗りをあげる事を許される。これは我々がいかに予防処置を取ろうとも、やはり試合の種目が難しく危険である事から、必要な措置であると判断したが為なのじゃ。6年生、7年生より年少の者が課題をこなせるとは考え難い。年少の者がホグワーツの代表選手になろうとして公明正大なる選考の審査員を出し抜いたりせぬ様、ワシ自ら目を光らせる事とする。」
ダンブルドアの明るいブルーの瞳がフレッドとジョージの反抗的な顔をチラリと見て、悪戯っぽく光った。
「ボーバトンとダームストラングの代表団は10月に到着し、今年度は殆どずっと我が校に泊まる。外国からの客が滞在する間、皆、礼儀と厚情を尽くす事と信ずる。更にホグワーツの代表選手が選ばれた暁には、その者を心から応援するであろうと、ワシはそう信じておる。」
ダンブルドアはそう言うと、夜も更けたので寝るようにと生徒達を促して、皆自分の寮へと向かっていく。