第15話
次の木曜日、グリフィンドールの4年生はムーディの最初の授業が待ち遠しく、昼食が済むと早々に教室の前に集まり始業のベルが鳴る前には列を作っていた。
「私、今まで…」
そう息を切らしながらギリギリに現れたハーマイオニーを除いて…。
「図書館に居たのでしょう?」
レンの言葉に小さく頷くハーマイオニー。
「早くおいでよ。良い席がなくなる。」
4人は素早く最前列で先生の机の真正面を陣取り、レン以外の3人は教科書の「闇の力…護身術入門」を取り出し、教室全体がいつになく神妙に先生を待っていた。
「きっと教科書はしまうように指示されると思うわ。」
「あら、どうして?」
ハーマイオニーが不思議そうに首を傾げる。
あの屋敷しもべ妖精の一件以来、こう皆でいる時以外は碌に会話をした記憶がない彼女からの声にレンは少々驚きながら小さく笑みを浮かべた。
「ジョージ達が言っていたでしょう?あの人は闇の魔術と戦う事がどういう事か判っているって。本当に闇の魔術と対抗する術を教えられるのなら教科書はただの飾りに過ぎない…そんな風に言う様な気がするの。」
「その通りだ。そんな物早くしまってしまえ。」
コツッコツッという音を響かせながら教室に入ってきたムーディ。
生徒全員に教科書をしまうように指示しながら机まで歩いてくる。
皆が教科書をしまうのを確認すれば、ムーディは出席簿を取り出し、傷痕だらけの歪んだ顔にかかる、鬣のような長い灰色まだらの髪をブルブルッと振り払い、生徒の名前を読み上げ始めた。
普通の目は名簿を追うように動き、もう片方の目があるべき場所には”魔法の目”がつけられており、その目がぐるぐると回り、生徒が返事をする度にその生徒をじっと見据えた。
「よし、それでは」
出席簿の最後の生徒が返事をし終えるとムーディが言った。