「これを読んでみると良い。きっとお前が気に入る筈だ。」
そう言って差し出した本には『地中海の水生魔法植物とその特性』と書いてある。
スプラウトの言葉を出し、そしてこの興味を持ちそうな本…
まるでリーマスがやりそうな程、上手な元気のつけ方だと思った。
その証拠に、ネビルの顔色は正常に戻り、瞳を輝かせてその本を受け取った。
それから食事を済ませて会話を続ければ、レン達は寮へと戻ろうとムーディの部屋を出る。
「ミス・クレスメント。」
「はい?」
振り返れば、ネビルも脚を止め一緒にムーディを見つめる。
だが、言葉の続きが紡がれる訳でもなく、ネビルは気を利かせて先に寮へと戻って行く。
「お前は…クィディッチワールドカップでの事件をどう思う?」
「虫唾が走ります。」
レンははっきりとそう答えれば、ムーディは両目でレンを見据える。
レンは視線を逸らしてはいけない…そう思い真直ぐにムーディを見続ける。
「それでは闇の帝王をどう思う?」
「一度会わなくてはならない…そう思っています。」
どう思う云々ではこの想いは表せそうも無い…
だが、一度会ってはっきりと言わなくてはいけない事がある…。
そう、クレスメントの力欲しさに自分が生まれる事を企んでいたのならば尚更である…。
「お前はなかなか度胸がある様だな。」
期待通りの答えだったのだろうか?それとも想像外の答えだったのだろうか…
ムーディはフッと笑ったかと思えば、室内へと帰っていった。
談話室に戻ると、そこはざわめいていたが特に気にする事も無く、ソファに腰掛けて暫くの間ボーッとしていたが、リーマスに手紙を書いてから宿題をやろうと、材料を寮へと取りに行く。
そしてまた同じ位置に戻れば、書き途中の手紙を広げてペンを走らせる。
毎回満月の前にはリーマスに薬を作って送らなくてはいけないとレンは考えており、それに合わせる様に、日記の様に書き綴ったリーマス宛の手紙を毎日、少しずつ書いていく。
今日はこんな事があった…それくらいしかなんて書いて良いか判らない。
手紙より、逢って顔を見ながら声を聞き、その場の空気を楽しみたい…そう思えば尚更だ。