順々に席に着いていく受験者たち。 番号札を引いた私の席は一番後ろでした。 始めの一歩 そわそわと動く周りの受験者たち。 第一次試験が始まった試験会場では、ペーパーテストを用いた試験が行われていた。 威圧的な試験官たちの態度は受験者たちを委縮させるのには十分過ぎるほどのものだった。 しかし、そんな中、“忍びらしい行動”をし始めた受験者たちがようやく出始めていた。 ちらほらと先ほどから、視界の至る所で様々な策が講じられているのが目につく。 っと、思っていたら…。 「xx番」、「xx番」と次々に番号を指摘されていく受験者たち。 私は引き摺られて出て行く受験者たちを茫然と見送った。 「……」 …どうしよう。 試験が始まってから早20分。 今まで茫然としているだけだったけれど、さすがにこのままという訳にもいかないのかな。 私は、未だにひっくり返してもいない手元のテストぺーパーを流し見た。 頭は悪くない方だと思う。 それに、私は(レントラーさんよろしく)透視能力が使えるから、求められている“忍びらしい行動”も容易にできる。 なら、なぜ回答を書こうとしないのか、その理由は簡単だった。 先ほどから厭にガン見してくる、真横の試験官が気になって仕方がないのだ。 不運なことにも、くじ引きで引いた席順は最後尾の壁側端の席。 ほんの一歩先に試験官がいる状態だった。 それに、その試験官がじーっと見てくるものだから、ペーパーを裏返すこともしたくない気分。 だからただ私はぼうっとすることのみに徹してしまっていた。 「よしっ!これから第10問目を出題する」 そうして、何をするでもなくただ茫然と時間が過ぎるのを待っていれば、突として上げられた声。 私はハッとして前方に視線を送った。 どうしよう、45分経ってしまっていたらしい。 それに今更な気もするけれど、この試験のルール、ワンマンの私には適用されているんだろうか。 伝えられる追加ルールを聞き流しながら、私は、まさか真横の試験官はそのための役割なのかと勘ぐってしまった。 ……今からでも、回答書いたら間に合うかな。 私は、黒板の前で言葉を紡ぐ試験官の存在を忘れて、ぺラリと初めて手元のテスト用紙を捲った。 「……(あれ)」 正直、私は捲った用紙を見て硬直してしまった。 なぜなら、回答がすでに刻まれていたから。 私はぽかんとそれを眺めてしまうけれど、不意に私の目の前に現れたフ―ディンさんに瞠目すると、フ―ディンさんの表情を見てすべてを納得してしまった。 「では。ここに残った全員に……第一の試験、合格を申し渡す」 私がフ―ディンさんにことりと頭をかぶりながらお礼をしていれば、教室中に響き渡った大きな声。 私はフ―ディンさんにゆるりと笑い掛けると、不意に「前を見なさい」と合図されてしまった。 しぶしぶ黒板に視線を投げる。 「?(静まり返ってどうしたんだろう)」 すると、先ほどとは打って変わった不思議な雰囲気の室内に、私は小首を傾げる。 なぜなら静まり返った室内が一様にキョドリとした空気に包まれていたのだ。 ぽつぽつと上げられていく質問。 それに対し、忍びの教えを説きながら応えていく試験官。 頭の傷を見せながらの力弁は、受験者たちの心にいくらか響くものだったらしい。 室内にさざめきが起こっていた。 そんなこんなで試験官が話を続けていき、ようやく話の終わりが見えたころ。 前方に座っていたナルトさんがその場に立ち上がって嬉々とした声を発していた。 それに供だって周囲の合格者たちも喜びを噛みしめ始める。 私は周囲にまったくついていけなかったけれど、隣でずっと私のことを観察していた試験官に「君も合格だよ」と告げられて、初めて事の次第を理解した。 「…ごう、かく?」 伝えられた言葉をゆっくりと咀嚼すると、私もようやく自分が一次試験を突破したのだという事実に気がついたのだった。 おお。驚きだ。 (え、あの試験官?) (「……」) (え?メタモンさん?)