今日から五日間。 どんより暮らしが続くそうです。 サバイバル 昨日、不知火先生から伝えられた二次試験会場。 指定された場所に向かえば、そこには見慣れた姿がありました。 今回はみんなに着いてきてもらって良かったと思います。 「お、ルカか。お前も来たんだな」 「こ、こんにちは、ルカさん」 「ワンマンでここまで来るとは、なかなかなものだな」 鬱蒼とする森の前に集まる集団。 その隅っこにぽつんと佇んでいれば、突として前方から掛けられた声。 顔を上げた先には、昨日ぶりに会う犬塚さん率いる第八班のお三方がおりました。 私は、「よっ」と片手を上げながら近づいてくる犬塚さんに「こんにちは」と小さく漏らした。 「へっ。お前は相変わらずみてェだな。ちったァやる気出せよ」 「…」 「キバ君…ルカさんも…えっと、ほら」 「あ?なんだよヒナタ」 「えっ…と……」 もじもじと指を弄りながら、こちらをちらちらと見る日向さん。 その日向さんの様子に犬塚さんが疑問の顔を浮かべていた。 班員同士の中でも、日向さんは大人しい性格みたいだ。 そんな第八班のやりとりを横で傍観していれば、これまた聞こえて来た聞き覚えのある声。 振り向いた先には、これまた昨日ぶりになる彼が佇んでいました。 「よ」 「…こんに、ちは」 「あぁ。お前も受けんのかよ、こんなメンドくせー試験」 「…はい」 ぽりぽり、と縛り上げた髪横をかじる奈良さん。 落とされる言葉と態度は相変わらずの彼らしさ全開でした。 彼の後ろでは、彼の班員の二人が訝し気に私を見ていた。 …だれ、だろう 「あぁ。こいつらは俺のチームだ。こいつは秋道チョウジ、んでこっちが…」 「山中イノよ!」 「…チッ、人が喋ってるときに出てくんなよ」 「うるさいわねシカマル。自分のことは自分で伝えたいのよワタシは」 「そーかよ」 奈良さんと話していれば、彼を押し退けて突如目の前に出て来た女の子。 クリーム色の髪を持った女の子は、私の前に来ると、ずいと手を差しだしてきた。 …握手?かな 私はそろりとそれを握り返すと、山中さんは「よろしく」と一言、笑い掛けてくれた。 「アンタ、アカデミーの時にシカマルとよく一緒にいた子よね」 「…はい」 「ルカだっけ?アンタ、ワンマンで試験受けてるって本当なの?」 「…(こくん)」 「ありえなーい!!それホントだったの?!」 「おい、イノ。それくらいにしとけよ」 「いいじゃないシカマル。新人10人って言っても残り9人はスリーマンセル。その中でこの子だけがひとりなのよ?可哀そうったらないわ。しかも中忍試験までワンマンで受けさせるなんて…担当上忍もそうだけど、それを許可した主催側も主催側よ」 「おいおい、イノ。まじでその辺にしとけって」 奈良さんが至極面倒くさそうに、けれど気を遣った風に私を見遣りながら、山中さんを止めようと躍起している。 秋道さんはその二人の横でお菓子を食べながら、「まあまあ」とマイペースを貫いていた。 不思議な組み合わせの班だ。 「ルカ悪いな。イノも悪気があった訳じゃねーんだ。許してやってくれ」 「?」 「ん?ああ。お前はそういう奴だったな」 「ちょっとシカマル!人のこと悪い感じに言わないでくれる?!」 「は?お前なぁ…ルカの立場も考えてやれよ」 「え?なに言ってんの」 「…はぁ。ルカの性格に感謝するんだな」 「はぁ?!」 奈良さんは私の肩にポンポンと手を置くと、山中さんに向かってため息を漏らしていた。 …不思議な組み合わせだ、ほんと。 「あー!お前らも来てたのかよ?!ってかルカじゃねーか!!」 「…ったく、メンドくせーのが来やがった」 「あっ!サスケくぅぅう―――ん!!」 「……」 わいわい、と声を上げていた山中さんに、奈良さんがはいはい、と話を流していたころ。 これまた聞こえて来た聞き覚えのある声。 私に変わって奈良さんと山中さんが、聞こえた声の先に振り返ると、そこにはこれまた見覚えのある顔が並んでいた。 「あ、あなたは」 「よ…」 「…こんに、ちは」 うちはさんと、たしか春野さん?が私を目に捉えると驚いたような表情を浮かべる。 ナルトさんは嬉々としながら、私の元へと駆け寄ってきた。 眼がきらきらとして眩しい。 「ルカも中忍試験参加してたんだな!俺気づかなかったってばよ!」 「おい、ナルト。ルカなら一次試験の時からちゃーんといたぜ」 「まじかよシカマル?!すまねールカ、俺ってば全然気づかなかったってばよ。あれ?でもお前確か一人じゃ…ん?なんで中忍試験出てんだ??」 「!ナルト!!アンタっ」 「…このウスラトンカチが」 「ンだとサスケ?!やんのかコラァ?!」 「……」 ここでも再び、別の騒動が勃発しそうな勢い。 奈良さんは「もう知らねー」と言いながら、最早諦めたように両手を上げていた。 私はちらりと奈良さんを見遣る。 すると、彼は「すまねーな」と片手を上げて、この場を離れて行ってしまった。 …逃げた? 私は、目の前で睨み合うナルトさんとうちはさんを横目に、こちらに近づいてきた春野さん?に視線を合わせた。 「私、春野サクラ。よろしく」 「……ルカ、です。よろしく…お願いします」 「なんか悪いわね、ナルトが。うるさくて困ってんのよホントに」 「?」 「あら、気にしてない感じ?それなら、ひとつ訊いてもいい?」 「?」 ピンク色の髪を揺らしながら、うちはさんをチラチラと見遣る春野さん。 ナルトさんを見る眼はひどく辛辣な感じだけれど、うちはさんに向けるものは桃色をしていた。 ?春色な感じだ。 「あなた、中忍試験は、一人で受けるように言われたの?」 「…?はい」 「それって、あなた自身が決めたことじゃないの?」 「…?」 「その、気を悪くしたら悪いんだけど。私たちの担当の先生が言ってたのよ。『自分の意思で受けなさい』って。だから…もし強制とかだったらって、思ったんだけど」 私から目を逸らしては、申し訳なさそうに眉を下げる春野さん。 どうやら、一人で試験を受ける私の心配をしてくれているようだ。 私はとんとん、と春野さんの肩を突くと、こちらに振り向いた春野さんにポツリと呟いた。 「…受けに、きたから。大丈夫です」 「…そう、それなら口出しはしないわ。お互い頑張りましょ。それとひとつ言っておくけど、イノブタには気をつけなさい!あの笑顔に騙されちゃダメよ」 「……」 「わかったわね」、と言葉尻を強く投げた春野さん。 そのとき丁度、二次試験担当官の轟くような声が受験者たちに向けて放たれた。 その声に振り返ると、春野さんは「それじゃ」と言ってうちはさんたちの元へと駆けて行った。 見送った先で、春野さんに拳骨を贈られるナルトさんが目に入った。 周囲の受験者たちの雰囲気が一気に変わる。 私もその雰囲気に面持ちを変えると、つと試験官の立つ森の先に目を遣った。 「それじゃ、第二の試験始めるわよ!!」 サバイバル生活が始まるらしいです。 (えっと、…同意書?) (「……」)