まずは、第二の試験通過おめでとう。 次の試験が始まるそうです。 天と地 寝ていた塔の中からミュウツーさんと二人飛び出し、通りかかった先でのひと騒動。 ミュウツーさんは、森の中で残りの4日と半日を過ごすことに嫌気がさしたのか、その後は、素直に塔へと私を抱えて戻って行きました。 「…ミュウツーさん?」 「(……)」 チラリと見上げたミュウツーさんの顔。 本当は、自然の中で気ままに過ごしたかったのだろう。 ほんの少し、機嫌が悪そうに見えた。 私はそんな彼を横目に、降ろされた場所でため息をひとつ。 「開」と書かれた札を張った扉を開けば、今朝方一度来た塔の中へと再び足を進めた。 「…」 『天無くば、智を織り機に備え。地無くば、野を駆け利を求めん。天地双者を開かば、危道は正道に帰す。これ則ち" "の極意…導く者なり。―三代目』 目の上に掲げられた一つの額縁。 どうやら、今朝辿り着いた時とは違う部屋に入ってきたようだ。 そう言えば、今朝来たときはミュウツーさんにテレポートで連れてきてもらったのだった。 …ということは、そのときとは別の部屋に入ってきたのかな。 私はミュウツーさんに疑問の目を投げた。 すると、ミュウツーさんは私の言いたいことがわかったのか、言外の言葉で「術式の掛けられたこの部屋を通り抜けて、勝手に奥の部屋へと入っていった」のだということを教えてくれた。 …さすがは伝説の?モンスターの力。 「これは、…巻物をひら、く…」 「(……)」 ミュウツーさんの凄さに改めて感服していると、ミュウツーさんが早く巻物を開けと急かしてきた。 私は、額に張られた文書を読んで巻物を開くことを理解したのだという体を装いながら、こくりとミュウツーさんの言葉に返事をした。 ひらり、と二つの巻物の帯を解いていく。 すると、双方に現れた「人」という文字。 それを中心に書かれた術式は、口寄せの術だった。 「…」 ―――ぼふんッ 二つの巻物が煙に巻かれていく。 そして、姿を消した巻物二つの代わりに、巻き上がる白煙の中から姿を現わしたのは、演習場を取り囲む44の扉をくぐる際に一緒にいた、一人の試験官だった。 「第二の試験通過おめでとう」 神月イズモ、と名乗ったその試験官は、己が中忍たちがこの第二の試験通過者の伝令役だということを手短に説明した。 そして、先ほどの額に張られた文書が中忍の心得だということも。 「それで、これから君を第三の試験会場に案内してもいいんだけど、あと4日と半日もあるしなぁ」 「……」 「ま、取り敢えずこの塔の奥に案内するからそこで試験終了まで待っていてくれ。今のところ通過者は君と一組だけだけど…まぁ、知ってるかな?君なら」 「…?」 神木さんは何か含みのある言い方をすると、一瞬だけ疑いの眼差しを私に向けて来た。 …なにか言いたいことがあるようだ。 私は、そんな彼の表情に茫然とした態度を返すと、それが意に添わなかったのか、神木さんは眉間に皺を寄せて口を開いてきた。 「…単刀直入に訊かせてもらうよ。上の方でちょっとごたごたしてるしね」 「…」 「君、二回ここに来ただろ。一回目は様子見ってとこかな?二回目は寝てたみたいだけど」 「……」 塔の中は監視されているとはわかっていたけれど、どうやら先にこの場所へ来ていたことが、試験官たちの糸に引っ掛かってしまったみたい。 私は、隣にいるミュウツーさんに「どうしようか」と伝えると、ミュウツーさんは静かに目の前の彼の記憶を弄ってしまった。 あ…そんなにあっさりと。 私は、ミュウツーさんの手腕を見届けるだけになってしまった。 そして、記憶改ざん作業が終わったのか、ミュウツーさんの力が落ち着いた気配を感じたころ。 神木さんが声を漏らした。 そして、神木さんは一度だけパチリと目を瞬かせると、「こっちだよ」と言って、私を奥の部屋へと案内してくれた。 先ほどの会話ともども、私がこの塔へと二回ほど来たことの記憶をすっかり忘れたみたい。 ……頼りになります、ほんと。 「それじゃ、ここで」 「…はい」 連れていかれた先の部屋はベンチが並ぶ石造りの部屋。 そこは今朝方私が眠っていた場所。 私は、静かにベンチに腰を降ろすと、遠くから感じる一つの視線を受け流した。 おそらく、あの赤毛の少年だろう。 私は、隣に腰掛けたミュウツーさんに一言「おやすみ」と呟くと、後の四日間は寝て過ごそうと決めたのだった。 しかし、それは残念ながら、その日のうちに破られた。 次に目を覚ましたのは、夜になった頃だった。 (俺たちが一番って……あ?ルカじゃねーか) (き、キバ君…ルカさん寝てるから…) (寝ているところを起こすとは無粋なものだな) (…ん?……いぬ…塚さ、ん?) (よォッ!)