―――ぼふんッ 「ん?カカシ先生!」 「よ」 「『よ!』じゃないわよカカシ先生!サスケ君は?サスケ君は大丈夫なの?」 「ま、大丈夫だ。今病院でぐっすりだ(ただし、暗部の護衛付だけど)」 「ほっ…」 「(ん?…ルカが見当たらない)ルカはまだ戻ってないのか?」 「え?言われてみれば…どこにいったのかしら。もう試合は始まってるって言うのに」 「カカシ先生さっきからなーんでルカばっかり探してんだ?」 「ま、いーじゃないの」 「ふーん。あ、次の試合が始まるってばよ!」 誘う引力 中忍試験、第三の試験予選会場を後にして、私はぽつりぽつりと森の中を歩いていた。 「死の森」と言われる森にある塔の中で行われている試合。 推薦してくれた不知火先生には申し訳ないけど、なんとなく辞退してしまった。 まさか、試合会場を抜け出た後に火影さんにご対面するとは思わなかったけど。 特に何もなく見逃してもらえた。 ミュウツーさんどこまで行ったのかな。 「…この森は、暗いね」 「(…?)」 未だにくるくると私の周りを飛んでいるミュウさん。 その顔には「どうしてまだこの森に居るのか」という不思議そうな表情を浮かべていた。 確かに、辞退する旨を火影さんに伝えたとき、火影さんは里へ送ることを提案してくれた。 けれど、私はそれを丁重に断った。 火影さん的には、試合を辞退しても受験生には試合を見学させたかったらしいけど。 私は、それよりも外の空気が吸いたかった。 「…」 「(…?)」 ふと立ち止まった足。 私はその場に立ち尽くすと、不意に肌を掠めた風に振り返った。 どうやら、試験会場を後にしたのは私だけではなかったらしい。 右後方から近づいてくる気配に、私はつと目を遣った。 「アラ、アナタ。さっきの子じゃない」 「…」 「試験はどうしたの?」 そこに姿を現わしたのは、先ほど試験会場で出会った音忍の人。 私はちろりと視線を向けた。 すると、その人はどこか楽しそうに口角を上げていた。 「…やめ、ました」 「そうなの。フフ、アナタ面白いわね。わざわざ困難な試験を抜けてきたっていうのに、自分から辞退するなんてねェ」 「…」 「それで?火影様はあなたにわざわざこの森を抜けて里まで帰れって言ったのかしら?薄情なお人ね、あの人も」 にたりと笑うその顔はどこか愉快気だ。 折角試合会場を抜け出て来たというのに、先ほどこの人を前に感じた衝動が再び沸き上がってきてしまった。 …どうしよう、かな。 私は、取り敢えずじっと見つめた。 「まぁいいわ。私これから用があるのよ。さっさとあなたもこの森から出るのね」 「…」 「蛇が出ても知らないわよ」 「…へび?」 「フフ」 「…それ、は……あなた?」 「…っ。フフ、アナタ」 「鋭いわねェ」、そう言いながら突如目を光らせた目の前の人。 私はその人の様子に、ことりと小首を傾げた。 瞳孔が蛇のように細くなったその人の鋭い眼光に、不思議な色を見つけたからだ。 どうやら(ブラッキーさんよろしく)みやぶるで見えてしまった彼の者の正体を暴いたことに、この人は驚きと面白みを抱いたらしい。 更にその笑みを深めていた。 「同じ匂いがするわ」 「…?」 「フフッ。木の葉にもまだこんな子がいるなんてねェ」 「また会いましょ」、と言葉を残して姿を消していくその人。 私は、茫然とその人の消えた場所を見つめていた。 なにやら不思議な人だった、なんだったんだろう。 こみ上がってきていた衝動は静かに落ち着いていった。 「(……)」 「…ミュウツーさん?」 「(…)」 そうして、しばらくその場で茫然としていれば、不意に背後に降り立ったミュウツーさん。 私は、ミュウさんを腕に抱えて、キョドリとミュウツーさんを見上げた。 彼の顔の不機嫌さは消えている。 どうやら気分転換はとっくに終わっていたらしい。 「…帰る?」 「(……)」 ミュウツーさんは私のそばに寄ると、徐に私を抱き上げた。 そして、ちらとミュウさんに視線を送ると、私の言葉にコクリと頷いてテレポートを纏った。 次に目を開いた時には木の葉の里に立っていた。 連れて帰ってきてもらったらしい。 ありがとうございます。 (あん?ルカじゃねーか。どうしたこんなところで。てかお前試験は?) (…不知火…先生) (まさか、やめてきたのか?) (…) (そーか。お疲れさん)