これは試験というよりお祭り騒ぎ。 どうやら中忍試験本選は本日開幕されるようです。 私はもちろん、里周辺の森を徘徊中ですけど。 祭り 「すごい、ね」 「(……)」 里のどこかしらで上げられる花火。 午前の明るい陽気の中で上げられる花火は、色もなくただ白煙を上げていた。 木枝の上で横になる私の隣にふよふよと浮いているミュウツーさんを見遣る。 彼の隣にはスイクンさんが同じく浮いていたけれど、背に乗るミュウさんの相手をしているようだった。 「私は、関係ないから…ここにいるよ」 「(……)」 「わかった」 「散歩にいってくる」と言って、その姿をどこかに飛ばしたミュウツーさん。 スイクンさんとミュウさんが不思議そうに私を見ていた。 「散歩、だって」 「(……)」 「ん。不知火先生は、本選の試験官?だったかな…に選ばれたみたい」 「(…)」 「私は…ん、いいよ」 スイクンさんの言外の言葉と私の会話。 それは、担当上忍である不知火先生の所在を確認するものだった。 そして今日の不知火先生の不在を伝える会話をしていれば、それを横で聞いていたミュウさんの動きが嬉々としたものへと変わった。 それなら今日は完ぺきに暇だよね、とミュウさんの瞳が輝いたのだ。 それを見止めた私とスイクンさんは、きょどりとミュウさんを見遣る。 ミュウさんの考えは言われずともわかっていた。 だから、私は「遊ぼう」というミュウさんの誘いに何の気なしに賛成した。 「…お祭り…ではなさそうだね」 「(……)」 そうしていくらかミュウさんたちと遊んでいれば、不意に辿り着いた森の奥。 今日は里内外から多くの人たちが流入してくることは聞いていた。 なので、里で木の葉以外の人や忍者たちの気配を大量に感じていても特に気にしていなかった。 「(……)」 「ん?」 「(………)」 けれど、遊んでいる最中に見つけたこの人たちは、どうやら中忍試験のお祭り騒ぎとは別のお祭りに参加する様子。 隣に降り立ったスイクンさんが、私たちの周りにいる気配は全て音と砂の暗部だと教えてくれた。 「…ということは、あれは木の葉にとってはよろしくない呼び出しモノかな?」 「(……)」 「そう…」 ちらりと目下に見えるモノを見遣る。 そこには地面に描かれたひとつの大きな口寄せの陣。 私は茫然とそれを視界に入れると、周囲から近づいてくる大量の忍びの気配にそっと絶を纏った。 「準備はいかがです」 「滞りなく。後は合図を待つだけです」 「そうですか、ではこちらは音にお任せいただきたい」 「お願いします」 聞こえた会話はなにやら物騒なこと。 私はぼうっと試験会場が開催されているであろう方向へと視線を投げると、肩を落としながらミュウツーさんにテレパシーを送った。 「(…)」 「いこ、か」 ミュウさんとスイクンさんに声を掛けながら立ち上がる。 そして、ミュウツーさんが居るであろう方向に苦笑を向けるとスイクンさんが徐にその鬣を靡かせた。 『今日の里周辺でのお散歩はやめよう』と伝えたテレパシーへの返事は簡潔だった。 まぁ、予想はしていたけれど。 『すぐ戻る』なんて言葉。 ミュウツーさんが現在進行形で日頃のうっ憤を晴らしているのは明白だった。 「戻ろう」 (え?試験会場?) (「……」) (たしかに、安心してぼうっとできそうな場所だけど…)