ぼうっとできる場所は、どうやら今のこの里にはどこにもないようです。 久しぶりにスイクンさんの背に乗せてもらって、ふさふさの鬣にぽふんと顔を埋めていたら、通り過ぎ様にナルトさんと目が合いました。 あれ、春野さんと奈良さんもいる。 どこかに急いでいるのかな。 喧騒の波 ぽすん、ぽすんとふわふわのスイクンさんの鬣に身体全てを預けていれば、不意に木々の横を通り過ぎた三つの影。 ナルトさんの大声が耳に届いてきました。 「ルカ!今そっち行くなってばよ!!」 「?」 だんだんと近づいてくる声に顔を上げる。 すると、丁度目の前を横切ったのはナルトさんと春野さん、珍しく奈良さんの姿がありました。 あと…犬? 私は、彼らにコトリと首を傾げた。 「ルカじゃない!急いでるから詳しくは言えないけど、確かにナルトの言う通りよ!今試験会場の方に行かない方がいいわ!!」 「そうだってばよ!俺たち今から任務だけどよ、お前弱っちいんだからどっかに隠れてろってばよ!!」 「……(そんなに急いでどこいくのかな)」 ナルトさんに続いて大声を上げたのは春野さん。 今度は遠のいていく三人と一匹を茫然と見ながら、私は徐々に小さくなっていく声にそのまま耳を傾けた。 あ、今度は奈良さんがこっちを向いた。 「ルカ今回はナルトの言うこと訊いとけ。里は今砂と音忍に襲われてる。試験会場はその要だ。悪ィことは言わねぇそっちには行くな」 「…」 「わかったな!」と言いながら過ぎ去っていった三人と一匹。 スイクンさんは足を止めずにそのまま前に進んでいったので、彼らとの距離はどんどん開いていった。 すでに影も見えない。 私は、取り敢えず頷き一つを返して、再びスイクンさんの鬣に顔を埋めた。 「(……)」 「ん?本当だね」 「(…?)」 「周りが…さわがしい」 ナルトさんたちが急いでいた様子、先ほどから里のあちこちから感じる事切れる沢山のチャクラ。 それに、遊んでいたときに見ていた口寄せの陣からは大蛇が呼ばれたのか、目の端にはちらりとその姿が捉えられた。 どうやら、木の葉の里が襲われているみたい。 ぼうっとなんて、里外じゃなければ今日は無理そうだ。 私は、スイクンさんとミュウさんの言外の言葉に顔を上げた。 ミュウさんがこてんと首をもたげている。 「(……)」 「不知火先生?…」 「(…)」 「…試験の審判……」 ミュウさんはくるりと私の頭上を一回転して、いつもなら「遊びの邪魔だ」と毛嫌いする不知火先生の気配をどうやら辿っているらしい。 スイクンさんが顔だけをこちらに向けて来た。 促されて、私もそろりと不知火先生の気配を辿る。 「(…)」 「…」 「(……)」 「気持ち…わるいね」 すると、試験会場の中から不知火先生の気配が届いてきた。 私はのそりと顔を上げると、スイクンさんの鬣をするりと撫ぜた。 そして、ほうっとため息一つを吐いてミュウツーさんに「今日だけは少し遊ばせて」とテレパシーを送った。 「ミュウツーさん、すぐ、来るって…」 「(……)」 「ん」 ミュウツーさんからの返事をポツリとスイクンさんに伝えれば、そのままスイクンさんの鬣を撫ぜ続ける。 そしてミュウさんにゆるりと笑い掛けると、私は刹那に感じた隣への気配に更に頬を緩めた。 すぐって言ってもこれは早過ぎじゃないだろうか。 「(……)」 「ミュウツーさん、早かったね…」 スイクンさんの背からミュウツーさんの腕の中に包まれる。 ふわりと頭に載った冷たいやさしい手がそろりと頭を上下した。 私はその気持ち良さにすっと目を細める。 その様子を見止めたミュウツーさんはもう一度だけわたしの頭を撫ぜると、スイクンさんとミュウさんに目配せをして、一瞬でその身にテレポートを纏った。 行く場所はただ一つ。 「…不知火先生、元気かな」 「(……)」 (不知火…先生……?) (っな!ルカ?!おま、何やって…)